さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

形成

 
白く乾きし       出世を望まば      寝る前に        星あかりに       
真実は         うちつけに       何時までも       耳ふさぎたき      
とり繕ひつつ      校正に         病身にて        独り身も        
 
 
 

04948
白く乾きし ガーゼたためり 対岸の 灯が瞬きて 見ゆる窓辺に
シロクカワキシ ガーゼタタメリ タイガンノ ヒガマタタキテ ミユルマドベニ

『形成』(形成発行所 1954.1) 第2巻1号(通巻9号) p.7


04949
出世を望まば 道もあらむと 縁者らに 思はれゐる事も 知れり二人は
シュッセヲノゾマバ ミチモアラムト エンジャラニ オモハレヰルコトモ シレリフタリハ

『形成』(形成発行所 1954.1) 第2巻1号(通巻9号) p.8


04950
寝る前に 焜爐に石油 みたしおく ならはしよ視野 狭く生きつつ
ネルマエニ コンロニセキユ ミタシオク ナラハシヨシヤ セマクイキツツ

『形成』(形成発行所 1954.1) 第2巻1号(通巻9号) p.8


04951
星あかりに 材木を積む 音しをり 終電を降りて よぎる空地に
ホシアカリニ ザイモクヲツム オトシヲリ シュウデンヲオリテ ヨギルアキチニ

『形成』(形成発行所 1954.1) 第2巻1号(通巻9号) p.8


04952
真実は 必ず通らむ などと説きて 世事には疎き 教師なりしよ
シンジツハ カナラズトオラム ナドトトキテ セジニハウトキ キョウシナリシヨ

『形成』(形成発行所 1954.1) 第2巻1号(通巻9号) p.8


04953
うちつけに 理解さるると 思はねど パンセの句引きて 返事書き終ふ
ウチツケニ リカイサルルト オモハネド バンセノクヒキテ ヘンジカキオフ

『形成』(形成発行所 1954.1) 第2巻1号(通巻9号) p.8


04954
何時までも 合はぬ算盤に 苛ちゆく 西陽をまともに 受くる座席に
イツマデモ アハヌソロバンニ イラチユク ニシビヲマトモニ ウクルザセキニ

『形成』(形成発行所 1954.1) 第2巻1号(通巻9号) p.8


04955
耳ふさぎたき 衝動に堪へて 坐りゐつ 人の言葉みな 偽善めく夕べ
ミミフサギタキ ショウドウニタヘテ スワリヰツ ヒトノコトバミナ ギゼンメクユウベ

『形成』(形成発行所 1954.1) 第2巻1号(通巻9号) p.8


04956
とり繕ひつつ 報告書書く 夜の事務所 集り悪き 会を終へ来て
トリツクロヒツツ ホウコクショカク ヨルノジムショ アツマリワルキ カイヲオヘキテ

『形成』(形成発行所 1954.1) 第2巻1号(通巻9号) p.8


04957
校正に 通ひ慣れたる この坂の ほとりに今年も 山茶花咲けり
コウセイニ カヨヒナレタル コノサカノ ホトリニコトシモ サザンカサケリ

『形成』(形成発行所 1954.1) 第2巻1号(通巻9号) p.8


04958
病身にて 娶らぬ君が 集め来し 埴輪らあたたかき 眼をしゐるかも
ビョウシンニテ メトラヌキミガ アツメコシ ハニワラアタタカキ メヲシヰルカモ

『形成』(形成発行所 1954.1) 第2巻1号(通巻9号) p.8


04959
独り身も 清しと言ひゐしが 涙に濡れたる 顔を直して 帰りゆきたり
ヒトリミモ スガシトイヒヰシガ ナミダニヌレタル カオヲナオシテ カエリユキタリ

『形成』(形成発行所 1954.1) 第2巻1号(通巻9号) p.8