さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

光たばねて

 
はるかなる       奥山に         蠟涙の         女子のみの       
木の洞に        へだたりは       桃山の         そののちに       
喉元を         来む世には       
 
 
 

04745
はるかなる 吉祥天に 献げむに ゑのころぐさを コップに挿しぬ
ハルカナル キッショウテンニ ササゲムニ ヱノコログサヲ コップニサシヌ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.70
【初出】 『短歌現代』 1993.1 狗尾草の記 (1)


04746
奥山に 車のいまだ 行かぬころ 吉祥天に 会ふとかよひき
オクヤマニ クルマノイマダ ユカヌコロ キッショウテンニ アフトカヨヒキ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.71
【初出】 『短歌現代』 1993.1 狗尾草の記 (2)


04747
蠟涙の つと垂直に 伝ひたる 見慣れぬことは 不安を誘ふ
ロウルイノ ツトスイチョクニ ツタヒタル ミナレヌコトハ フアンヲサソフ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.71
【初出】 『短歌現代』 1993.1 狗尾草の記 (3)


04748
女子のみの 生徒を持ちて 一人だに 戦にやらぬ 幸ひありき
ジョシノミノ セイトヲモチテ ヒトリダニ イクサニヤラヌ サイワヒアリキ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.72
【初出】 『短歌現代』 1993.1 狗尾草の記 (4)


04749
木の洞に 申し合はせて 隠し置く 要もなきまま キイ持ちて出づ
キノウロニ モウシアハセテ カクシオク ヨウモナキママ キイモチテイヅ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.72
【初出】 『短歌現代』 1993.1 狗尾草の記 (5)


04750
へだたりは かくの如くに 香水を 変へたることの 人に知られず
ヘダタリハ カクノゴトクニ コウスイヲ カヘタルコトノ ヒトニシラレズ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.73
【初出】 『短歌現代』 1993.1 狗尾草の記 (6)


04751
桃山の ころの雲よと 屏風絵を 見をれば銀の 箔がまたたく
モモヤマノ コロノクモヨト ビョウブエヲ ミヲレバギンノ ハクガマタタク

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.73
【初出】 『短歌現代』 1993.1 狗尾草の記 (7)


04752
そののちに 降りにし雪に 消されたる 足跡のありと たれの言ひけむ
ソノノチニ フリニシユキニ ケサレタル アシアトノアリト タレノイヒケム

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.74
【初出】 『短歌現代』 1993.1 狗尾草の記 (8)


04753
喉元を すぎて忘るる わが性は 母に受けたる 大きたまもの
ノドモトヲ スギテワスルル ワガサガハ ハハニウケタル オオキタマモノ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.74
【初出】 『短歌現代』 1993.1 狗尾草の記 (9)


04754
来む世には ゑのころぐさと わがならむ 抜かれぬやうに 踏まれぬやうに
コムヨニハ ヱノコログサト ワガナラム ヌカレヌヤウニ フマレヌヤウニ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.75
【初出】 『短歌現代』 1993.1 狗尾草の記 (10)