さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

光たばねて

 
縫ひ針を        つながりて       くくと啼き       渋滞の         
女装かと        会はぬまま       煩悩の         みどりごは       
耳悪しき        思ふさま        貴石とも        戦にて         
七草の         おほかたを       
 
 
 

04689
縫ひ針を 撒きたるごとく 光りつつ 消えつつ稚魚は 水にちらばる
ヌヒバリヲ マキタルゴトク ヒカリツツ キエツツチギョハ ミズニチラバル

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.37
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (1)


04690
つながりて 咲く曼珠沙華 はればれと もう一本が 離れて咲けり
ツナガリテ サクマンジュシャゲ ハレバレト モウイッポンガ ハナレテサケリ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.38
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (2)


04691
くくと啼き 岸に寄りくる 一列に 混じりてあらば われはどの鴨
ククトナキ キシニヨリクル イチレツニ マジリテアラバ ワレハドノカモ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.38
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (3)


04692
渋滞の 車のほとり 温室の 曇りのなかに 人かげ動く
ジュウタイノ クルマノホトリ オンシツノ クモリノナカニ ヒトカゲウゴク

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.39
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (4)


04693
女装かと 思ひたれども 金の環の ピアスしてゐて 耳が小さし
ジョソウカト オモヒタレドモ キンノワノ ピアスシテヰテ ミミガチイサシ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.39
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (5)


04694
会はぬまま 四十年か デモのあと 流れ解散 して別れにし
アハヌママ ヨンジュウネンカ デモノアト ナガレカイサン シテワカレニシ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.40
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (6)


04695
煩悩の 一つのごとし 吊るされし 塩鮭の絵を 目が覚えゐて
ボンノウノ ヒトツノゴトシ ツルサレシ シオザケノエヲ メガオボエヰテ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.40
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (7)


04696
みどりごは 見えぬもの見て 泣くといふ 噴水の秀に 冬の日が差す
ミドリゴハ ミエヌモノミテ ナクトイフ フンスイノホニ フユノヒガサス

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.41
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (8)


04697
耳悪しき 少女と犬も 気付きしか 吠ゆるをやめて 撫でられてゐる
ミミアシキ ショウジョトイヌモ キヅキシカ ホユルヲヤメテ ナデラレテヰル

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.41
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (9)


04698
思ふさま あばれてゐたる 旗すすき 一幅の絵に 戻りてそよぐ
オモフサマ アバレテヰタル ハタススキ イップクノエニ モドリテソヨグ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.42
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (10)


04699
貴石とも 葱の種子とも 知れねども ひとつぶひとつぶ 土に埋めをり
キセキトモ ネギノシュシトモ シレネドモ ヒトツブヒトツブ ツチニウメヲリ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.42
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (11)


04700
戦にて 中止となりし 年ありき 若草山を こよひ燃すとぞ
イクサニテ チュウシトナリシ トシアリキ ワカクサヤマヲ コヨヒモストゾ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.43
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (12)


04701
七草の 三草ばかりの 粥といふ 雪のカナダに 人は住みゐて
ナナクサノ ミクサバカリノ カユトイフ ユキノカナダニ ヒトハスミヰテ

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.43
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (13)


04702
おほかたを 渡り終へたる わがひと世 じやがたらぶみは 書かなくて済む
オホカタヲ ワタリオヘタル ワガヒトヨ ジヤガタラブミハ カカナクテスム

『光たばねて』(短歌新聞社 1998) p.44
【初出】 『短歌』 1992.2 じゃがたらぶみ (14)