さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

風の曼陀羅

 
集まりて        アイリスを       読みさしを       路面より        
品触れの        簪の          夜の道に        
 
 
 

04395
集まりて 降るにもあらぬ 梅雨の雨 ひとすぢひとすぢ 迷はずに落つ
アツマリテ フルニモアラヌ ツユノアメ ヒトスヂヒトスヂ マヨハズニオツ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.101
【初出】 『短歌往来』 1989.7 迷わずに落つ (1)


04396
アイリスを 活け替へをれば 賜はりし いとまと思ふ までに癒えきぬ
アイリスヲ イケカヘヲレバ タマハリシ イトマトオモフ マデニイエキヌ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.101
【初出】 『短歌往来』 1989.7 迷わずに落つ (2)


04397
読みさしを 机に伏せて 出で来しが 迎への舟の 待つにもあらず
ヨミサシヲ ツクエニフセテ イデコシガ ムカヘノフネノ マツニモアラズ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.102
【初出】 『短歌往来』 1989.7 迷わずに落つ (3)


04398
路面より やや浮き立ちて 夏草の 短き橋は かかりゐにけり
ロメンヨリ ヤヤウキタチテ ナツクサノ ミジカキハシハ カカリヰニケリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.102
【初出】 『短歌往来』 1989.7 迷わずに落つ (4)


04399
品触れの 珊瑚の如く かがよひて 尾を垂らしゐる かんざし一つ
シナブレノ サンゴノゴトク カガヨヒテ オヲタラシヰル カンザシヒトツ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.102
【初出】 『短歌往来』 1989.7 迷わずに落つ (5)


04400
簪の 占ひといふが ありにしが なにゆゑ偶数を 凶としにけむ
カンザシノ ウラナヒトイフガ アリニシガ ナニユヱグウスウヲ キョウトシニケム

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.103
【初出】 『短歌往来』 1989.7 迷わずに落つ (6)


04401
夜の道に 投げ出されたる 洋傘に 降りゐし雪は 今も目に見ゆ
ヨノミチニ ナゲダサレタル カウモリニ フリヰシユキハ イマモメニミユ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.103
【初出】 『短歌往来』 1989.7 迷わずに落つ (7)