さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

印度の果実

 
工事場に        遠くより        枯れ原の        電話のベル       
目に見ゆる       異なれる        庭に来て        
 
 
 

04059
工事場に 大き土管の 積まれゐて 吸ひ込む如し なべての音を
コウジバニ オオキドカンノ ツマレヰテ スヒコムゴトシ ナベテノオトヲ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.91
【初出】 『短歌研究』 1983.3 よしなき耳 (1)


04060
遠くより 枯れ野を渡り くる人の 胸のあたりに 何か光らす
トオクヨリ カレノヲワタリ クルヒトノ ムネノアタリニ ナニカヒカラス

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.92
【初出】 『短歌研究』 1983.3 よしなき耳 (2)


04061
枯れ原の 黒きかたまり 近よれば 憩へる牛は 牛の大きさ
カレハラノ クロキカタマリ チカヨレバ イコヘルウシハ ウシノオオキサ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.92
【初出】 『短歌研究』 1983.3 よしなき耳 (3)


04062
電話のベル 鳴りつぎゐるは どの家か よしなき耳を 持ちて歩めり
デンワノベル ナリツギヰルハ ドノイエカ ヨシナキミミヲ モチテアユメリ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.93
【初出】 『短歌研究』 1983.3 よしなき耳 (4)


04063
目に見ゆる こころの如く ナプキンの かたちやさしく たたまれゐたり
メニミユル ココロノゴトク ナプキンノ カタチヤサシク タタマレヰタリ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.93
【初出】 『短歌研究』 1983.3 よしなき耳 (5)


04064
異なれる 世界が奥に ある如し 鏡に映る ドアを見をれば
コトナレル セカイガオクニ アルゴトシ カガミニウツル ドアヲミヲレバ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.94
【初出】 『短歌研究』 1983.3 よしなき耳 (6)


04065
庭に来て ゐたる小鳥の 足あとも 消しゆく雨か 夜半降り出でて
ニワニキテ ヰタルコトリノ アシアトモ ケシユクアメカ ヨハフリイデテ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.94
【初出】 『短歌研究』 1983.3 よしなき耳 (7)