さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

印度の果実

 
潮騒に         夕焼けを        藻のそよぎ       手をあげて       
山茶花の        雨のあと        隙間より        
 
 
 

04037
潮騒に まぎれがちなる 会話して また逢はむ日の いつとも知れず
シオサイニ マギレガチナル カイワシテ マタアハムヒノ イツトモシレズ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.79
【初出】 『短歌研究』 1983.1 冬の会話 (1)


04038
夕焼けを 遠く透かして 人あらず 四方ガラスの 電話ボックス
ユウヤケヲ トオクスカシテ ヒトアラズ シホウガラスノ デンワボックス

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.80
【初出】 『短歌研究』 1983.1 冬の会話 (2)


04039
藻のそよぎ 鰭のそよぐを 見てあれば 水のなかにも 風ある如し
モノソヨギ ヒレノソヨグヲ ミテアレバ ミズノナカニモ カゼアルゴトシ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.80
【初出】 『短歌研究』 1983.1 冬の会話 (3)


04040
手をあげて バスに乗るまで 水音の 身を離れずに つきてゐにけり
テヲアゲテ バスニノルマデ ミズオトノ ミヲハナレズニ ツキテヰニケリ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.81
【初出】 『短歌研究』 1983.1 冬の会話 (4)


04041
山茶花の 散りしくあたり 用のなき 鶏のごとく 歩めりわれは
サザンカノ チリシクアタリ ヨウノナキ ニワトリノゴトク アユメリワレハ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.81
【初出】 『短歌研究』 1983.1 冬の会話 (5)


04042
雨のあと 虹立つといふ 現象も 旅先にして あはれを誘ふ
アメノアト ニジタツトイフ ゲンショウモ タビサキニシテ アハレヲサソフ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.82
【初出】 『短歌研究』 1983.1 冬の会話 (6)


04043
隙間より 何見て終ふる われならむ 時の流れの 速くなりつつ
スキマヨリ ナニミテオフル ワレナラム トキノナガレノ ハヤクナリツツ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.82
【初出】 『短歌研究』 1983.1 冬の会話 (7)