さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

風水

 
俯瞰して        待ち長き        生きものの       ひとすぢの       
角印を         いつとなく       落ち葉焚く       枯れ草に        
 
 
 

03701
俯瞰して 見ゆる範囲に 黄に塗られ 何を限れる ひとすぢの柵
フカンシテ ミユルハンイニ キニヌラレ ナニヲカギレル ヒトスヂノサク

『風水』(沖積舎 1986) p.167
【初出】 『形成』 1980.4 「無題」 (1)


03702
待ち長き 思ひの如し 花つけて 宙にしづまり がたき穂先は
マチナガキ オモヒノゴトシ ハナツケテ チュウニシヅマリ ガタキホサキハ

『風水』(沖積舎 1986) p.167
【初出】 『形成』 1980.4 「無題」 (2)


03703
生きものの 何かがゐたる 気配して 筧の水の うすく濁れる
イキモノノ ナニカガヰタル ケハイシテ カケヒノミズノ ウスクニゴレル

『風水』(沖積舎 1986) p.168
【初出】 『形成』 1980.4 「無題」 (3)


03704
ひとすぢの 水路に隔て られてゐる 町が見ゆ階を 降り来ても見ゆ
ヒトスヂノ スイロニヘダテ ラレテヰル マチガミユカイヲ オリキテモミユ

『風水』(沖積舎 1986) p.168
【初出】 『形成』 1980.4 「無題」 (4)


03705
角印を 一つ押すにも 平均に 力の入る ことは少なし
カクインヲ ヒトツオスニモ ヘイキンニ チカラノハイル コトハスクナシ

『風水』(沖積舎 1986) p.168
【初出】 『形成』 1980.4 「無題」 (5)


03706
いつとなく ギプスに固め られきたる 心のごとし 長く勤めて
イツトナク ギプスニカタメ ラレキタル ココロノゴトシ ナガクツトメテ

『風水』(沖積舎 1986) p.169
【初出】 『形成』 1980.4 「無題」 (6)


03707
落ち葉焚く 火に近づきて 見てあれば 炎は風に 片寄りて立つ
オチバタク ヒニチカヅキテ ミテアレバ ホノオハカゼニ カタヨリテタツ

『風水』(沖積舎 1986) p.169
【初出】 『形成』 1980.4 「無題」 (7)


03708
枯れ草に はげしく音を たてて降り やがて静かな 夜の雨となる
カレクサニ ハゲシクオトヲ タテテフリ ヤガテシズカナ ヨノアメトナル

『風水』(沖積舎 1986) p.169