さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

野分の章

 
ほほづきの       傷つきて        バスを待つ       千代紙の        
かすかなる       
 
 
 

02953
ほほづきの 葉脈のみと なる洞に 夕陽のごとし 実の色づくは
ホホヅキノ ヨウミャクノミト ナルウロニ ユウヒノゴトシ ミノイロヅクハ

『野分の章』(牧羊社 1978) p.70
【初出】 『短歌研究』 1976.3 かすかなる飢ゑ (3)


02954
傷つきて 知るほかなきに 雪原の 夜更けを渡る たれの足音
キズツキテ シルホカナキニ セツゲンノ ヨフケヲワタル タレノアシオト

『野分の章』(牧羊社 1978) p.70
【初出】 『短歌研究』 1976.3 かすかなる飢ゑ (2)


02955
バスを待つ 間にシャッターの おろされて 時計屋の店も 一枚の壁
バスヲマツ マニシャッターノ オロサレテ トケイヤノミセモ イチマイノカベ

『野分の章』(牧羊社 1978) p.71
【初出】 『短歌研究』 1976.3 かすかなる飢ゑ (5)


02956
千代紙の 色を変へつつ 折りてゆく 鹿もスワンも 同じ大きさ
チヨガミノ イロヲカヘツツ オリテユク シカモスワンモ オナジオオキサ

『野分の章』(牧羊社 1978) p.71
【初出】 『短歌研究』 1976.3 かすかなる飢ゑ (6)


02957
かすかなる 飢ゑに目ざめて みひらきぬ 飢ゑの意識は いづこより湧く
カスカナル ウヱニメザメテ ミヒラキヌ ウヱノイシキハ イヅコヨリワク

『野分の章』(牧羊社 1978) p.71
【初出】 『短歌研究』 1976.3 かすかなる飢ゑ (7)