さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

無数の耳

 
いらだちを       だしぬけに       ビーカーに       洗ひたる        
昼となく        
 
 
 

01517
いらだちを 伝ふるピアノ はたと止み 時雨の音の 降り過ぎてゆく
イラダチヲ ツタフルピアノ ハタトヤミ シグレノオトノ フリスギテユク

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.227
【初出】 『短歌研究』 1965.1 見知らぬ街 (3)


01518
だしぬけに わが名呼ばれて 銀漢の 一粒づつを 見よといざなふ
ダシヌケニ ワガナヨバレテ ギンカンノ ヒトツブヅツヲ ミヨトイザナフ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.227


01519
ビーカーに 一輪挿して ありし薔薇 科学の信じ がたき日無きか
ビーカーニ イチリンサシテ アリシバラ カガクノシンジ ガタキヒナキカ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.228


01520
洗ひたる 小皿を棚に かさねゐて とりとめのなき 不安はきざす
アラヒタル コザラヲタナニ カサネヰテ トリトメノナキ フアンハキザス

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.228


01521
昼となく 夜となくわれを よぎりゆく 爆音はあり 次第に繁し
ヒルトナク ヨトナクワレヲ ヨギリユク バクオンハアリ シダイニシゲシ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.228