さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

無数の耳

 
駆けのぼる       吊るされて       鎮まらぬ        絵羽織の        
亡きあとに       沼の色         なきがらが       対岸の         
 
 
 

01465
駆けのぼる ごとくにともる ネオン見つ 銀河を仰ぐ よりも寂しく
カケノボル ゴトクニトモル ネオンミツ ギンガヲアオグ ヨリモサビシク

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.208
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (29)


01466
吊るされて ゐるはわが身と 思ふまで 画面に垂るる 白き足裏
ツルサレテ ヰルハワガミト オモフマデ ガメンニタルル シロキアナウラ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.208
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (30)


01467
鎮まらぬ こころのごとく 夜もすがら 風を集めて 鳴る梢あり
シズマラヌ ココロノゴトク ヨモスガラ カゼヲアツメテ ナルコズエアリ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.209
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (31)


01468
絵羽織の 蘭の見る見る しぼみゆく 夢より醒めて てのひら寒し
エバオリノ ランノミルミル シボミユク ユメヨリサメテ テノヒラサムシ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.209
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (32)


01469
亡きあとに 知れるさみしさ 陰口に 猶太人と呼ばれて ゐしことも聞く
ナキアトニ シレルサミシサ カゲグチニ ジユウトヨバレテ ヰシコトモキク

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.209
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (33)


01470
沼の色 たちまちくらみ 中空に 燃えゐし雲の 錆びてひろがる
ヌマノイロ タチマチクラミ ナカゾラニ モエヰシクモノ サビテヒロガル

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.210
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (34)


01471
なきがらが 握りてゐたる 石といふ 小さき積石も 埋め去られき
ナキガラガ ニギリテヰタル イシトイフ チサキケルンモ ウズメサラレキ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.210
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (35)


01472
対岸の 木の間は靄に とざされて 水に残れる あはき夕映え
タイガンノ コノマハモヤニ トザサレテ ミズニノコレル アハキユウバエ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.210
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (36)