さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

無数の耳

 
散り透きて       かたまれる       移り来し        癒えかけて       
回転椅子の       声高に         街灯の         穿たるる        
 
 
 

01406
散り透きて 節めだつ木々 遠ざかる 足音ばかり われは聴きゐる
チリスキテ フシメダツキギ トオザカル アシオトバカリ ワレハキキヰル

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.186
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (1)


01407
かたまれる 砂利をほぐして 道ばたに ひとりの音を たてゐる工夫
カタマレル ジャリヲホグシテ ミチバタニ ヒトリノオトヲ タテヰルコウフ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.186
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (2)


01408
移り来し 家に残れる 古きベンチ そのまま置きて 子犬をつなぐ
ウツリコシ イエニノコレル フルキベンチ ソノママオキテ コイヌヲツナグ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.187
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (5)


01409
癒えかけて 引き返す感冒 うとましく 曇る鏡を 幾たびも拭く
イエカケテ ヒキカエスカゼ ウトマシク クモルカガミヲ イクタビモフク

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.187
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (12)


01410
回転椅子の 高さ戻して 坐りたり 夜の間に誰の 掛けゐしならむ
カイテンイスノ タカサモドシテ スワリタリ ヨノマニタレノ カケヰシナラム

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.187
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (14)


01411
声高に 話しつつ来る 男同志 自転車のライト ゆれて近づく
コワダカニ ハナシツツクル オトコドウシ ジテンシャノライト ユレテチカヅク

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.188
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (48)


01412
街灯の 下を過ぎつつ 振り向けば 背後も寒き 雨降りてゐる
ガイトウノ シタヲスギツツ フリムケバ ハイゴモサムキ アメフリテヰル

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.188
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (49)


01413
穿たるる ままに眠らむ 額深く したたりやまぬ 雨だれの音
ウガタルル ママニネムラム ヌカフカク シタタリヤマヌ アマダレノオト

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.188
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (50)