さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

無数の耳

 
みなもとを       流木を         わが館         何の木と        
巣を高く        一粒の         凪ぎ深き        製材の         
 
 
 

01329
みなもとを さして上れと いふごとき 流れに浮かぶ 形代もなし
ミナモトヲ サシテノボレト イフゴトキ ナガレニウカブ カタシロモナシ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.156
【初出】 『彩』 1965.6 形代 (2)


01330
流木を 寄せつつ筏 組める夢 ガンジス越えて 何処へか行く
リュウボクヲ ヨセツツイカダ クメルユメ ガンジスコエテ イヅクヘカユク

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.156
【初出】 『彩』 1965.6 形代 (3)


01331
わが館 めぐりてゐしが 目ざむれば 蹄の音は 遠ざかりゆく
ワガヤカタ メグリテヰシガ メザムレバ ヒズメノオトハ トオザカリユク

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.157
【初出】 『彩』 1965.6 形代 (4)


01332
何の木と 知らずに過ぎし 年月か こまかき落ち葉 踏みつつかよふ
ナンノキカ シラズニスギシ トシツキカ コマカキオチバ フミツツカヨフ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.157
【初出】 『彩』 1965.6 形代 (6)


01333
巣を高く 張り替へてゐる 蜘蛛に会ふ 漂ふごとく ありたき時に
スヲタカク ハリカヘテヰル クモニアフ タダヨフゴトク アリタキトキニ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.157
【初出】 『形成』 1964.7 「無題」 (5)


01334
一粒の 真珠もらひて 久しきを 思ひゆくりなく 心うるほふ
ヒトツブノ シンジュモラヒテ ヒサシキヲ オモヒユクリナク ココロウルホフ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.158
【初出】 『彩』 1965.6 形代 (11)


01335
凪ぎ深き 沼の曇りに 倦むごとく しきりに潜く 白鳥のかげ
ナギフカキ ヌマノクモリニ ウムゴトク シキリニカヅク ハクチョウノカゲ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.158
【初出】 『彩』 1965.6 冬の枝 (6)


01336
製材の 音も歯ぐきに くひこむと よりどころなく 臥す一日あり
セイザイノ オトモハグキニ クヒコムト ヨリドコロナク フスヒトヒアリ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.158
【初出】 『彩』 1965.6 冬の枝 (5)