さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

無数の耳

 
さかしらを       ウインドウの      バス降りし       雪渓の         
知るべ少なき      北欧の         篝り火が        森深く         
 
 
 

01259
さかしらを 言ひ来し心 寂しきに 青き靄刷く ゆふべの坂は
サカシラヲ イヒコシココロ サビシキニ アオキモヤハク ユフベノサカハ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.130
【初出】 『形成』 1964.6 「無題」 (6)


01260
ウインドウの 花の飾りに 灯がともり みな月代の 青き男雛ら
ウインドウノ ハナノカザリニ ヒガトモリ ミナサカヤキノ アオキヲビナラ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.130
【初出】 『短歌』 1964.3 野火の村 (8)


01261
バス降りし 闇に思へば 若者は 蛇象れる 指環してゐき
バスオリシ ヤミニオモヘバ ワカモノハ ヘビカタドレル ユビワシテヰキ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.131
【初出】 『短歌研究』 1964.5 季冬日々 (10)


01262
雪渓の 祟り怖るる われを措き 発ちにき再び 逢ふ日無かりき
セッケイノ タタリオソルル ワレヲオキ タチニキフタタビ アフヒナカリキ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.131
【初出】 『形成』 1964.5 「無題」 (2)


01263
知るべ少なき この坂の町 遅くまで 点してわれを 待つ花屋あり
シルベスクナキ コノサカノマチ オソクマデ トモシテワレヲ マツハナヤアリ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.131
【初出】 『短歌研究』 1964.5 季冬日々 (11)


01264
北欧の 木の実たづさへ 訪ひ呉れき 雪の夜に呼ぶ 記憶の一つ
ホクオウノ コノミタヅサヘ トヒクレキ ユキノヨニヨブ キオクノヒトツ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.132
【初出】 『短歌研究』 1964.5 季冬日々 (20)


01265
篝り火が 雪の飛沫を はじく音 まぼろしの城 潰えし後も
カガリビガ ユキノヒマツヲ ハジクオト マボロシノシロ ツヒエシノチモ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.132
【初出】 『短歌研究』 1964.5 季冬日々 (21)


01266
森深く ひそめる夢の 醒めむとす 風はブザーの 音を呼びつつ
モリフカク ヒソメルユメノ サメムトス カゼハブザーノ オトヲヨビツツ

『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.132
【初出】 『形成』 1964.5 「無題」 (1)