さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

不文の掟

 
憎まれて        大方は         女ゆゑ         ガラス透かして     
禍ひを         たちまちに       沖に出でて       道ばたに        
静かなる        つきつめて       
 
 
 

00530
憎まれて ゐると知り得て 安らぐや ヴァイオリンの胴を 磨きてゐたり
ニクマレテ ヰルトシリエテ ヤスラグヤ ヴァイオリンノドウヲ ミガキテヰタリ

『不文の掟』(四季書房 1960) p.26
【初出】 『短歌研究』 1956.7 背後のこゑ (5)


00531
大方は 笑ひてすます わが笑顔 ひといろと思ひ またそのまま笑ふ
オオカタハ ワラヒテスマス ワガエガオ ヒトイロトオモヒ マタソノママワラフ

『不文の掟』(四季書房 1960) p.26
【初出】 『短歌』 1956.11 カナダまで (3)


00532
女ゆゑ スムースにゆくとふ かげ口も されつつきりのなき 仕事に追はる
オミナユヱ スムースニユクトフ カゲグチモ サレツツキリノナキ シゴトニオハル

『不文の掟』(四季書房 1960) p.27
【初出】 『形成』 1956.1 湖心 (3)


00533
ガラス透かして のみ空を見る 日々過ぎて 海へ行かむと いふ便り読む
ガラススカシテ ノミソラヲミル ヒビスギテ ウミヘユカムト イフタヨリヨム

『不文の掟』(四季書房 1960) p.27
【初出】 『短歌研究』 1956.7 背後のこゑ (14)


00534
禍ひを 吐かむとせしや わが夢に つかの間見えて 消えたる木馬
ワザワヒヲ ハカムトセシヤ ワガユメニ ツカノマミエテ キエタルモクバ

『不文の掟』(四季書房 1960) p.27
【初出】 『短歌』 1956.11 カナダまで (8)


00535
たちまちに 君のヨットは 遠ざかる カナダまで漕ぎ ゆくにかあらむ
タチマチニ キミノヨットハ トオザカル カナダマデコギ ユクニカアラム

『不文の掟』(四季書房 1960) p.28
【初出】 『短歌』 1956.11 カナダまで (9)


00536
沖に出でて いつぱいに風を はらむ帆よ 遠くより見れば ただに静けし
オキニイデテ イツパイニカゼヲ ハラムホヨ トオクヨリミレバ タダニシズケシ

『不文の掟』(四季書房 1960) p.28
【初出】 『形成』 1956.12 風前 (3)


00537
道ばたに 諍へる異人の そば過ぎて 噴水光る 公園に出づ
ミチバタニ イサカヘルイジンノ ソバスギテ フンスイヒカル コウエンニイヅ

『不文の掟』(四季書房 1960) p.28
【初出】 『形成』 1956.4 遠景 (2)


00538
静かなる 旅の終りよ 外人墓地を かたへに見つつ 坂くだりゆく
シズカナル タビノオワリヨ ガイジンボチヲ カタヘニミツツ サカクダリユク

『不文の掟』(四季書房 1960) p.29
【初出】 『形成』 1956.4 遠景 (6)


00539
つきつめて 思へることなべて 遠景と なりゆくごとし 朝霧流る
ツキツメテ オモヘルコトナベテ エンケイト ナリユクゴトシ アサギリナガル

『不文の掟』(四季書房 1960) p.29
【初出】 『形成』 1956.4 遠景 (4)