さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

まぼろしの椅子

 
そこばくの       苦しみて        國の不幸の       ハンストに       
留學生の        先手打ちて       少しづつ        翳ばかり        
 
 
 

00352
そこばくの 投資信託 などしつつ 友らの描く未來も わが信じ得ず
ソコバクノ トウシシンタク ナドシツツ トモラノエガクミライモ ワガシンジエズ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.138
【初出】 『形成』 1953.11 雜記 (3)


00353
苦しみて 貯蓄する要なき 新中國を 今日來し友は 讃へゆきたり
クルシミテ チョチクスルエウナキ シンチュウゴクヲ キョウコシトモハ タタヘユキタリ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.138
【初出】 『形成』 1953.11 雜記 (4)


00354
國の不幸の 源を思ふ ことなしや ハンストの前を 少女らは過ぐ
クニノフコウノ ミナモトヲオモフ コトナシヤ ハンストノマエヲ オトメラハスグ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.139
【初出】 『形成』 1953.8 夜の雨 (5)


00355
ハンストに 傷つける友を 見舞ひ來て 慰めがたし 今日の心は
ハンストニ キズツケルトモヲ ミマヒキテ ナグサメガタシ キョウノココロハ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.139
【初出】 『形成』 1953.8 夜の雨 (6)


00356
留學生の 友も苦しみを 告げて來ぬ アメリカは病めり といふ語をひきて
リュウガクセイノ トモモクルシミヲ ツゲテコヌ アメリカハヤメリ トイフゴヲヒキテ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.139
【初出】 『形成』 1954.5 危き未来 (1)


00357
先手打ちて 輿論を封ぜよと 言はれしが 寂しく歸途を 街に出で來つ
センテウチテ ヨロンヲフウゼヨト イハレシガ サビシクキトヲ マチニイデキツ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.140
【初出】 『形成』 1954.5 危き未来 (2)


00358
少しづつ よくなる社会を 信じたしと アンケートの葉書 刷りつつ思ふ
スコシヅツ ヨクナルシャカイヲ シンジタシト アンケートノハガキ スリツツオモフ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.140


00359
翳ばかり 見る如き日の 續くなり 壁の繪をドガの 踊り子に替ふ
カゲバカリ ミルゴトキヒノ ツヅクナリ カベノエヲドガノ オドリコニカフ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.140
【初出】 『形成』 1953.12 現実 (7)