さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

まぼろしの椅子

 
憎むより        強ひて忘れむと     わが夢に        梗概のみを       
疑ふは         まどゐ得よと      さまざまに       窓の下に        
 
 
 

00218
憎むより 祈り續け來し 日々も虚し 頬とがり君の 歩みゐしとぞ
ニクムヨリ イノリツヅケコシ ヒビモムナシ ホホトガリキミト アユミヰシトゾ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.86
【初出】 『短歌』 1954.11 古き樂譜 (1)


00219
強ひて忘れむと 今は思はず君が 工學の 書籍も未だ 積めるわが部屋
シヒテワスレムト イマハオモハズキミガ コウガクノ ショセキモイマダ ツメルワガヘヤ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.86
【初出】 『短歌』 1954.11 古き樂譜 (2)


00220
わが夢に 來るきれぎれの 像をつなぐ 錯亂は深く 胸にきざすや
ワガユメニ クルキレギレノ ゾウヲツナグ サクランハフカク ムネニキザスヤ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.87
【初出】 『短歌』 1954.11 古き樂譜 (5)


00221
梗概のみを 追ふ人の中に 胸深く 愛の推移を 秘めつつ勤む
コウガイノミヲ オフヒトノナカニ ムネフカク アイノスイイヲ ヒメツツツトム

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.87
【初出】 『短歌』 1954.11 古き樂譜 (7)


00222
疑ふは 卑しきことと 決めてゐて ひそやかなりき不幸と なりし過程も
ウタガフハ イヤシキコトト キメテヰテ ヒソヤカナリキフコウト ナリシカテイモ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.87
【初出】 『短歌』 1954.11 古き樂譜 (13)


00223
まどゐ得よと 母が持たせくれし 長火鉢 獨りとなりし 部屋に位置占む
マドヰエヨト ハハガモタセクレシ ナガヒバチ ヒトリトナリシ ヘヤニイチシム

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.88
【初出】 『形成』 1955.1 微雨 (6)


00224
さまざまに 干渉されつつ 結ばれゆく 君らにあたたかく あらむと思ふ
サマザマニ カンショウサレツツ ムスバレユク キミラニアタタカク アラムトオモフ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.88
【初出】 『短歌』 1954.11 古き樂譜 (6)


00225
窓の下に いつまでも囁き 交はす聲 世界隔てて われは眠らむ
マドノシタニ イツマデモササヤキ カハスコエ セカイヘダテテ ワレハネムラム

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.88
【初出】 『形成』 1954.11 教職 (8)