さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

まぼろしの椅子

 
送らむと        オポチュニストと    何か含める       俗物と         
わが生活を       交叉路を        孤立せむ        ネール首相を      
カロッサに       アルバイトより     俄かに胸に       
 
 
 

00090
送らむと 言ふを拒みて 歸り来つ 行きずりの人と 今は思はむ
オクラムト イフヲコバミテ カエリキツ ユキズリノヒトト イマハオモハム

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.36
【初出】 『形成』 1954.2 母 (4)


00091
オポチュニストと 低く呟き ふり返る ベレーかぶれる 彼の背後を
オポチュニストト ヒククツブヤキ フリカエル ベレーカブレル カレノハイゴヲ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.36
【初出】 『形成』 1953.7 寂しき言葉 (5)


00092
何か含める 友の饒舌と 思へれば はためくカーテンを 括らむと立つ
ナニカフクメル トモノジョウゼツト オモヘレバ ハタメクカーテンヲ ククラムトタツ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.37
【初出】 『短歌』 1954.11 古き樂譜 (15)


00093
俗物と 呼ばれつつ或る 強さ持つ 友と思ひ幾日 腦裡を去らず
ゾクブツト ヨバレツツアル ツヨサモツ トモトオモヒイクニチ ノウリヲサラズ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.37
【初出】 『形成』 1954.11 教職 (5)


00094
わが生活を 如何に見て歸りしか 飛躍せよと 友は手紙に 書き添へて來ぬ
ワガセイカツヲ イカニミテカエリシカ ヒヤクセヨト トモハテガミニ カキソヘテコヌ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.37
【初出】 『形成』 1953.10 職掌 (13)


00095
交叉路を 越え來し女工員の 隊列より 今し湧き起る ザ・バイカル湖の唄
コウサロヲ コエコシジョコウインノ タイレツヨリ イマシワキオコル ザバイカルコノウタ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.38
【初出】 『形成』 1954.7 風塵 (5)


00096
孤立せむ 祖國思ふ交々の 論の果て 十年後の日本を信ぜむといふ 若き一人は
コリツセム ソコクオモフコモゴモノ ロンノハテ ジュウネンゴノニホンヲシンゼムトイフ ワカキヒトリハ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.38


00097
ネール首相を 論じ來しわれら 消極的に なるを戒め 合ひて別れぬ
ネールシュショウヲ ロンジコシワレラ ショウキョクテキニ ナルヲイマシメ アヒテワカレヌ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.38
【初出】 『形成』 1954.6 流離 (3)


00098
カロッサに 目は開かれつと ある後記 賜びし詩集に 幾日憑かるる
カロッサニ メハヒラカレツト アルコウキ タビシシシュウニ イクカツカルル

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.39
【初出】 『短歌』 1954.11 古き樂譜 (8)


00099
アルバイトより 歸れる妹 フランス語の 動詞變化を 誦しゐるけはひ
アルバイトヨリ カエレルイモウト フランスゴノ ドウシヘンカヲ ズシヰルケハヒ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.39
【初出】 『形成』 1954.8 余波 (8)


00100
俄かに胸に 火點きし如く 夜更かして 論據となさむ 章句書き抜く
ニワカニムネニ ヒツキシゴトク ヨフカシテ ロンキョトナサム ショウクカキヌク

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.39
【初出】 『形成』 1954.8 余波 (9)