さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

まぼろしの椅子

 
理解さるるを      内側に         散りしける       鬱結の         
まざまざと       覺めぎはの       雨の音         
 
 
 

00071
理解さるるを 故意に拒むと 思はれむ 應へ少く 人と歩めり
リカイサルルヲ コイニコバムト オモハレム イラヘスクナク ヒトトアユメリ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.28
【初出】 『形成』 1955.8 短夜 (11)


00072
内側に 踏み入るを避けて 語らへば かたみに寂し 君も獨り身
ウチガワニ フミイルヲサケテ カタラヘバ カタミニサビシ キミモヒトリミ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.28
【初出】 『形成』 1954.7 風塵 (6)


00073
散りしける 賣子木の花掃く 土の上 わが呟きを 聽く人もなし
チリシケル エゴノハナハク ツチノウエ ワガツブヤキヲ キクヒトモナシ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.29
【初出】 『形成』 1955.8 短夜 (7)


00074
鬱結の ほぐるるを待つ 如き夜々 レースの小花 編みためてゆく
ウッケツノ ホグルルヲマツ ゴトキヨヨ レースノコバナ アミタメテユク

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.29
【初出】 『形成』 1955.8 短夜 (8)


00075
まざまざと われは書きたし みづからの 傷嘗めて堪へ来し ながき経緯を
マザマザト ワレハカキタシ ミヅカラノ キズナメテタヘコシ ナガキケイイヲ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.29
【初出】 『形成』 1955.8 短夜 (9)


00076
覺めぎはの 夢は何言ひしや 大きく光る 目持てる埃及 壁畫の女
サメギハノ ユメハナニイヒシヤ オオキクヒカル メモテルエジプト ヘキガノオンナ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.30
【初出】 『形成』 1955.4 残夢 (2)


00077
雨の音 聽きつつ夜半を 目覺めゐて 濡れて光りゐむ 木膚を思ふ
アメノオト キキツツヨワヲ メザメヰテ ヌレテヒカリヰム キハダヲオモフ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.30
【初出】 『形成』 1955.9 経緯 (9)