さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

まぼろしの椅子

 
學問する程       傷つけ合ふを      退職金にて       敎育功勞者の      
性別にて        思ひまうけぬ      思はせぶりの      跪きて         
 
 
 

00063
學問する程 女は不幸になると いふ論に 反撥しつつ 寂しくなりぬ
ガクモンスルホド オンナハフコウニナルト イフロンニ ハンパツシツツ サビシクナリヌ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.25
【初出】 『形成』 1955.9 経緯 (3)


00064
傷つけ合ふを 避けて歸らむ 弧獨の 深みにて吐く かたみの言葉
キズツケアフヲ サケテカエラム コドクノ フカミニテハク カタミノコトバ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.25
【初出】 『形成』 1955.9 経緯 (4)


00065
退職金にて 託兒所を營まむと 口癖に 言ひゐしゆとり 今の君にはなし
タイショクキンニテ タクジショヲイトナムト クチグセニ イヒヰシユトリ イマノキミニハナシ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.26
【初出】 『形成』 1955.4 残夢 (6)


00066
敎育功勞者の 表彰受けし 日の君を 思ひ出でつつ ひとり寂しむ
キョウイクコウロウシャノ ヒョウショウウケシ ヒノキミヲ オモイイデツツ ヒトリサビシム

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.26
【初出】 『形成』 1955.4 残夢 (7)


00067
性別にて 差をつけし辭職の 勸告には 屈し給ふなと 勵して別る
セイベツニテ サヲツケシジショクノ カンコクニハ クッシタモフナト ハゲマシテワカル

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.26
【初出】 『形成』 1955.4 残夢 (8)


00068
思ひまうけぬ 懀惡の語 聞き來し今日の會 何の信號か 遠き視界に光る
オモヒモウケヌ ゾウオノゴ キキコシキョウノカイ ナンノシンゴウカ トオキシカイニヒカル

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.27
【初出】 『形成』 1955.3 夜の落葉 (10)


00069
思はせぶりの 言葉なりしを また思ふ 起き上りて 灯を消せる時より
オモワセブリノ コトバナリシヲ マタオモフ オキアガリテ ヒヲケセルトキヨリ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.27
【初出】 『形成』 1953.12 現実 (8)


00070
跪きて 砂漠に祈る ターバンの 群の一人たりしが 汗ばみてめざむ
ヒザマズキテ サバクニイノル ターバンノ ムレノヒトリタリシガ アセバミテメザム

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.27
【初出】 『形成』 1955.3 夜の落葉 (11)