さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

まぼろしの椅子

 
逆説と         わが敎へ子が      何もかも        なまなかの       
諧調を         刹那刹那に       アンダルシアの     夢さめて        
 
 
 

00055
逆説と ばかりとらわれし わが言葉 インコの籠覗きて より部屋に入る
ギヤクセツト バカリトラワレシ ワガコトバ インコノカゴノゾキテ ヨリヘヤニイル

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.22
【初出】 『形成』 1955.5 春寒 (5)


00056
わが敎へ子が 夫の敎へ子に 嫁ぐ知らせ 屆きぬ夫の 歸らぬ家に
ワガオシヘゴガ ツマノオシヘゴニ トツグシラセ トドキヌツマノ カエラヌイエニ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.22
【初出】 『形成』 1955.9 経緯 (6)


00057
何もかも 見抜きていまさむ 元氣を出せと 最後に言ひて 電話切り給ふ
ナニモカモ ミヌキテイマサム ゲンキヲダセト サイゴニイヒテ デンワキリタモフ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.23
【初出】 『形成』 1955.9 経緯 (7)


00058
なまなかの 批判には屈せず なりて來て 悲しみは不意に 内より湧き來
ナマナカノ ヒハンニハクッセズ ナリテキテ カナシミハフイニ ウチヨリワキク

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.23
【初出】 『形成』 1955.9 経緯 (8)


00059
諧調を 求むるこころ 夜更けて ヴァイオリンの絃 引き緊めてゆく
カイチョウヲ モトムルココロ ヨルフケテ ヴァイオリンノイト ヒキシメテユク

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.23
【初出】 『形成』 1955.9 経緯 (10)


00060
刹那刹那に 生くる狂喜も わが知らず 流浪者の唄 彈きつつ寂し
セツナセツナニ イクルキョウキモ ワガシラズ チゴイネルワイゼン ヒキツツサビシ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.24
【初出】 『形成』 1955.9 経緯 (11)


00061
アンダルシアの 野とも岩手の 野とも知れず ジプシーは彷徨ひ ゆけりわが夢に
アンダルシアノ ノトモイワテノ ノトモシレズ ジプシーハサマヨヒ ユケリ ワガユメニ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.24
【初出】 『形成』 1955.9 経緯 (12)


00062
夢さめて 胸ははずめり 何に追はれて 驅けゐしかと闇に 目あきて思ふ
ユメサメテ ムネハハズメリ ナニニオハレテ カケヰシカトヤミニ メアキテオモフ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.24
【初出】 『形成』 1955.9 経緯 (13)