さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

初期の手作り歌集等

初期の手作り歌集

『13 むろ咲きの菜種の花の』

ふるさとの母はやさしもみづ/\と熟れし梨など送りたまひぬ
母上はいかにおはすや學び舎は金木犀のはなにほふころ
文字などはつたなくませど母の手の父をし見れば涙ぐまるゝ
病みがちの父を守りて老いたまふ母のすがたは崇くかなしき
雪つもる夜の静けさにほの/゛\と胸に湧きくる思ひわりなし
よしなしとはた思へども雪の夜の更けつゝ泣かゆよしなし事に
すべなしといなみつゝはたかなしくも想ひ初めにしもりをかのひと
いくときを書よみつぎてわがあれば更けて外の面は月明るらし
もりをかの商業校を今年卆へし秀才の子に心ひかるゝ
縣一の女学校より女髙師に今ある吾のたわけごゝろか
友どちとまんとかぶりて雪の日に町ゆく人のまなざしの明るさ
学問をきはむるわれをしたひてやかの少年のあくがれごゝろ
言ひしれぬおもひほのかになしたまふかの少年のふかきまなざし