さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

初期の手作り歌集等

初期の手作り歌集

『8 春愁の曲 歌の集』

君をおきあぐね行きゆく新道のかたへの庭にふぢの花咲く
散り残るあせびの花を尋(と)めゆけば雨はれてあした若葉もえて美はし
雲きれてますみの碧さ見えそめぬ物思ひする子をなだむかに
たえがたく思ひあぶれて来し吾を旺もいだくか天地の春
い寝がたく思(も)ひ極まりてこのあしたあぶれ来し野に楓若葉燃ゆ
物音にうち驚きてみかへれば雨後の若葉を鹿の食(は)む音(ね)か
おだやかに雨を湛ふる猿澤の池のほとりにさをしかのむれ
君と離(さか)りてたえがたくあれど野をゆけば光のさ中に吾も生きてあるかな