高根沢町図書館/高根沢町史ほか

高根沢町史 民俗編

第九章 言語伝承―耳の文芸―

第六節 地蔵信仰と伝説

〔地蔵信仰と伝説〕

 お隣の芳賀町にある「延生地蔵」は関東一円は言うに及ばず、東北地方にもその名を広げているが、「お地蔵さん」は伝説や昔話の世界でも人気者で、よく子供と仲良く遊んでいて、大人が子供のいたずらをたしなめると、かえってその大人に罰が下るというくらい、大らかであらゆる願いを聞いてくれる仏様である。
 お地蔵さんが子供と仲が良いのは、この世とあの世を繋ぐ三途の川に続く賽の河原で幼くして死んだ子供やこの世に生を受けることなく流産した子供の霊が集まり、石を積み上げてあの世に行く努力をしていると鬼が出てきてその石を蹴散らすが、それを地蔵が助けあの世に導くという伝承と深く結びついていると言われている。お地蔵さんが赤いよだれ掛けをしているのも、そうした伝承の影響である。
 多くの仏は立派な寺に鎮座しているが、お地蔵さんは、道端や峠で雨や風をまともに受けながらも、ほほ笑みを絶やさず、人々の願いを叶え親しまれてきた仏様である。それだけに、日々の生活の喜怒哀楽を一番知っている仏でもある。