高根沢町図書館/高根沢町史ほか

高根沢町史 民俗編

第八章 民俗芸能

第一節 神楽

一 上高根沢の太々神楽

 神楽の構成は、舞人と囃子方(楽人ともいう)とからなっている。演目は、太々御神楽三六座修業といって三六の演目数がある。一般に神楽での座とは神様の意味で、三六座といえば三六の神々が登場するということが広く用いられているが、上高根沢の太々神楽では一演目を一座と呼び習わしている。
 上高根沢太々神楽の三六座とは、1 日和志神 2 天津神国津神両神舞 3 思金命 4 月夜見命 5 長白羽鳥命 6 天ノ羽津智命 7 カジヤ 8 伊弉諾・伊弉冉神 9 玉取舞 10 久間ノ久須日命 11 鬼女舞 12 表筒男・中筒男・底筒男命 13 玉淤家命 14 天ノ児屋根命・天ノ太玉命 15 天ノ穂日命 16 岩戸 17 道祖神 18 石児理止命 19 随神 20 天津日児根命 21 江久津日児根命 22 大蛇舞 23 羽多織姫命 24 大刀舞 25 五行舞 26 大和舞 27 興津姫・多喜津姫・多心姫 28 天忍穂児命・萬幡千々姫命 29 久間ノ久須日命 30 湯釜 31 岩長姫命・木花咲耶姫命 32 稲荷舞(農業) 33 恵比須舞 34 天ノ穂日命 35 大黒舞 36 大山住命である。なおこれらの呼び方や漢字は、宮比講社の使用にならったものであて字がある。
 以上三六座をすべて舞うのには二日以上かかるといわれる。現在はこのうち一二座ぐらいを舞う。特に最初の舞の「日和志神」は舞台を祓い清める舞であり、最後の「大山住命」は、大山住命がサカキの枝葉を採り物にして、〽榊葉に 結い四垂かけて 打ち祓う 身には穢れの霧雲もなし、と言詞を唱えて村内安全を願う結びの舞で、この二座はいかなる時にも必ず演じなければならないものとなっている。
 平成一二年二月の寺渡戸長宮稲荷神社初午祭では、1日和志 2天津国津両神舞 3道祖神舞 4鍛冶之舞 5玉取舞 6大蛇舞 7岩戸之舞 8恵比須大黒舞 9大山祗の九座が、午前一一時三〇分頃より午後三時三〇分頃までの四時間に及んで演じられた。このうち恵比須大黒舞では、恵美須が鯛釣りをする時に、見物客がご祝儀袋を釣り針に掛けてハナとして祝金を包みあげる。また大黒は種まきをする所作で最後には餅や縁起物を蒔き、厄払いをするもので大勢の地区の人々がこのマキモノ(蒔き物)に殺到して盛りあがる。
 舞の種類は幣舞・平舞・大崎舞・三宝舞・笹舞・巣籠の六舞が基本である。

図2 神楽面