高根沢町図書館/高根沢町史ほか

高根沢町史 民俗編

第四章 ムラの暮しとイエの暮し

第一節 ムラの暮し

三 ムラの共有財産

 中阿久津の場合、大字の主な共有財産には、鎮守の星宮神社と天満宮がある。星宮神社の境内には本殿、拝殿とが建てられており、また樹齢百年をこえる古樹が繁る。天満宮では例祭時に芝居を上演する習しがある。芝居小屋は当初仮設組立て式の舞台であったが、昭和四〇年頃に天満宮境内の一画に公民館が建設されたのを機に、公民館に常設の舞台を併設した。この舞台を併設した公民館は、大字の共有財産である。なお、これら神社は現在氏子が管理するものとなっている。
 ブラクの共有財産としては、中東の場合、天棚、大杉様の神輿と面、ソウゼン様の祠、金毘羅さんの神輿などがあり、中西の場合は大杉様の神輿と面、天棚などである。大杉様とは、茨城県稲敷郡桜川村阿波に鎮座する大杉神社の神霊を勧請したもので、四月と九月とに祭りが行われ、天狗面を被った者を先頭に神輿がブラク中の全戸をまわり村内安全・五穀豊穣などを祈願するものである。また、天棚とは天祭の際の中心施設となるもので二階建ての仮設組立て式の棚である。なお、現在、天棚を所有するのは、中東だけである。一方、班ごとの共有財産には、庚申講の掛軸、十九夜講の掛け軸などがあり、中東の吉原班では百万遍念仏の数珠と鉦を所有した。なお、庚申講、十九夜講、百万遍念仏が盛んに行われたのは戦前までのことである。
 大谷では高龗神社が鎮守である。高龗神社氏子会で所蔵する大正四年の「村社高龗神社年中祭式祭典当番組執務諸品負担台帳」(史料編Ⅲ近現代 五〇七頁)には、「斉田地神祭」「斉田田植式」についての記述が見える。地神祭は五月に、田植式は六月にそれぞれ行われ、「当日ハ氏子総代、鎮守世話人、大字区長、村会議員、大谷青年団長、当番組ヨリ青年会員一名出ノコト」とある。この斉田とは高龗神社に付属する水田であり、高龗神社の祭礼で用いる餅や赤飯などを作る米を栽培したものである。つまり、斉田は、高龗神社とともに大谷の共有地であった。このような神社に付属する水田を、栃木県内ではジンジャメン(神社面)とかマツリメン(祭り面)などといった。
 太田では津島神社が鎮守であり、昭和三四年に神楽殿を建造したが、この建造費を氏子からの寄付金と境内に生育する杉の伐採から得た資金であてたという。このように、境内に杉や桧を植える神社が多く、それが貴重な共有財産となっている所もある。

図7 天満宮境内に建てられた公民館と伝承館(中阿久津)


図8 百万遍念仏の数珠をはじめとする葬儀用仏具(平田)


図9 高龗神社御斉田での田植え風景(大谷 阿久津次大氏提供)