高根沢町図書館/高根沢町史ほか

高根沢町史 通史編Ⅱ

第五章 戦後改革と民主化

第五節 新農村建設と農協

二 高根沢町の新農村建設事業

 高根沢町の東部地域(旧北高根沢村)は昭和三四年度から農林省の「農山村振興特別助成地域」に指定されて、高根沢東部地域農村振興協議会を設けて新農村建設の「農村振興基本計画」をたてた。西部(旧阿久津村)は三五年度の指定だった。この計画の基本構想は次のようであった。
 
   本地域の農村振興事業を積極的に推進し、個々の農家の経営の合理化により農業総所得の増大を図ると共に労働の生産性を高め、技術の改善を図り経費の節減を策して農業所得を増進し、以て農家経済の安定向上を期し、明朗で文化的な農村を建設する
 
そして、具体的な所得増加の目標を次のように定めた。
 
 項 目         現 在(円)  計画目標(円) 伸長率
 農家一戸当り総粗収入  四二四,〇九六 六一五,〇八〇 一四五・〇%
 耕地一反当り粗生産額   二七,四九五  三九,八二二 一四五・〇%
 労働者一人当り粗生産額 一三一,四三四 一九〇,六二三 一四五・〇%
                   ※計画目標年次は五ケ年後、昭和三八年
 
基本構想を達成するために次の六項目を強力に推進することになった。
 
 (一)土地条件の整備
  ・灌漑排水路並に同施設の整備、完全暗渠排水の実施、農道の整備、区画整理の推進
   東部 農用地三、八五四町のうち七六パーセントが耕地、田二,九六〇町(八〇パーセント)、畑六〇七町(二〇パーセント)で耕地利用率は田は一三四パーセントと低いがそれは水田面積の四〇パーセント、九四一町が湿田だからである。また全体として秋落ち田が多い。これらの点の改善が重点である。畑は利用率二〇三パーセントであるが、干害、晩霜被害の常習地帯である。
   西部 総面積の五五パーセントが耕地、田一、〇七〇町(七四パーセント)、畑三七一町(二六パーセント)で耕地利用率は東部と同様、鬼怒川流域地帯は肥沃な二毛作田だが石末、大谷は土地生産力が低く湿田の改良が必要。畑は酸性土で施肥の合理化により改良中。
 
 (二)稲作技術の改善
  ・早期早植栽培・健苗育成の推進、適品種の導入、病虫害の完全予防、施肥の合理化、耕土培養東部、西部共に保温折衷苗代が増加しつつあり健苗育成、早植栽培も増加しているがさらに推進の必要がある。農業改良普及所、農協、農事研究クラブの連携で新技術の研究、普及を図る
 
 (三)経営の改善
  ・経営計画の樹立、水田裏作の推進、家畜の導入、畜力・機械力の適正利用及び導入、農業経営の改善に供する施設の設置
   東部 農地改革で一、四〇〇町歩が解放され、小作・自小作農一、〇六〇戸が自作農になった。所得(四二万四〇九六円)の九一パーセントが米麦、九パーセントが畜産(牛乳)。米、大麦、ビール麦、蔬菜、雑穀、果実の生産増加及び畜産で牛乳、牛肉、鶏卵の生産増加を図る
   西部 農地改革で七〇〇町が解放され、小作・自小作農八〇〇戸が自作農になった。所得(四〇万四八三五円)の大部分は米麦で、それに畜産、園芸が加わっている。米麦、雑穀、薯類、蔬菜、果実の生産増加及び牛・山羊乳、牛・豚肉、鶏卵の生産増加を図る
 
 (四)畑作の振興
  ・畑地灌漑、地力の保全、果樹の導入
   東部は干害対策として畑地灌漑をすすめ、西部は施肥の合理化により酸性土壌を改良する。東部、西部とも果樹は梨の増産を図る
 
 (五)流通過程の改善
  ・農協を中心とした共同購販体系の確立、市場性の向上、流通過程改善に資する共同施設の充実
   東・西部とも農協が米麦の集荷・販売の主力であるが、農薬、肥料、飼料は個人業者が多いのでさらに共同購販体制を強化する。畜産組合(三二年成立、酪農、和牛・養豚、緬山羊、養鶏の各組合を包含)、果樹生産出荷組合による集荷、共同出荷施設を充実する。特に共同集乳所、共同果実集荷所を充実させる
 
 (六)生活の改善
  ・各種団体の育成・強化、生活文化活動に伴う施設の設置、環境衛生の確立、食生活の改善、因習の打破、家族計画の樹立、冠婚葬祭の簡素化、家族会議の奨励東部、西部ともに青年・婦人たちが新生活運動を公民館、農協中心におこなっているが、まだ因習的で封建的生活様式が強い。部落座談会や生活改善クラブ活動を一層強めると共に青年・婦人の活動拠点としての部落公民館を充実する必要がある
 
 新農村建設は生産・流通・生活文化全体の改善を目指した計画で、特に高根沢町は町村合併による新しい町の発足と同時期だったので、町を挙げて熱心に取り組まれた。