高根沢町図書館/高根沢町史ほか

高根沢町史 通史編Ⅱ

第四章 昭和恐慌と戦争の時代

第四節 戦時下の村政と村民生活

二 戦争を支える人々

 戦線が中国全土に拡がり、戦争は多額の軍事費を必要とした。政府は赤字国債の乱発を防ぎ、統制経済の徹底化を図るため国民に節約と貯金、納税を強要し、さまざまな方法で国民の生活資金を吸いあげていった。具体的には地域ごとに貯蓄組合が作られ、国・県から割り当てられた貯蓄目標額は部落会、隣組などを通し個人別に強制的に割り当てられた。
 北高根沢村では「第一報国貯金組合」が、昭和一三年に国民精神総動員貯蓄報国のかけ声の中で、貯蓄報国の実をあげるために設けられた。この組合は村役場、農会、産業組合に在職する人々によって職場ごとに組織され、組合は上から割り当てられた目標額に従い、各自の給料の中から天引きする強制的な貯蓄方法をとった。昭和一六年に入ると貯蓄強化週間などが設けられ、六月二〇日からの貯蓄強化週間では国民学校の生徒は貯蓄のために藁細工、イナゴとり、苧麻の採取、魚取り、古物集めなどを実施した(渡辺章一家文書「郷土だより(四月~六月号)五頁」)。また、村常会の協議事項、実践事項には毎回「貯蓄励行の強化」「国民貯蓄組合一斉整備」など貯蓄関係事項が記されている。
 九月に入ると、北高根沢村長は各部落実行組合長に国民貯蓄組合の設立を通達した。国、県から町村に割り当てられた貯蓄目標額は村内の部落会をはじめそれぞれの貯蓄組合に強制的に割り当てられた。とりあえず北高根沢村は貯蓄目標額の達成を期すため一か月当たり金三円の貯蓄を目標として組合員一同団結して貯蓄報国に邁進することになった(渡辺章一家文書)。貯蓄と同様、納税義務の重要性が昭和一二年のころから強く叫ばれてきた。当時、熟田村では納税履行の促進に力を入れ、村民に対し納税義務の重要性を強調した。滞納者に対しては自発的納税を促すとともに、各種団体が協力し合い、積極的に納税思想の普及、改善に努め納税成績の向上を図り、村行政の振興を期すために一一月二一日より二七日まで納税強調週間を実施している。当時掲げられた標語は、①戦時の忠臣、平時の納税、②時間と納税は正確に、③郷土の美風は納税より、④明るい家庭に滞納なし、⑤怠納は亡国の基なりと、積極的に役場が納税意識を高めるために躍起になっていた様子がわかる(史料編Ⅲ・四〇八頁)。
 貯蓄同様、納税義務の徹底は昭和一六年に入って一層厳しくなった。戦局の拡大に伴い銃後財政の強化を図るため、栃木県ではその根幹をなす納税報国を徹底するため「納税報国運動実施計画」をたて、その大要を発表した。そのため納税報国運動の趣旨並びに世論の喚起をするための協議会開催が決められ、特に各部落常会その他を利用して全村民に徹底を図るとした。北高根沢村では納税奨励委員協議会と納税組合長の会議で次のような決議をしている。
 
  一、吾人は納税思想の普及徹底を図ると共に、納税組合の設置、増設未加入者の加入を促す等、組合の拡充強化を期す
  二、吾人は一層納税組合の機能を発揮する為、更に施設に一段の工夫改善をうながし、以て租税の納期内完納を期す
  三、吾人は個々の滞納者に付、滞納するに至りたる原因を究明すると共に、これが対策を講じ滞納の弊風を一掃せんことを期す
 
 この決議を実践するため、部落常会、隣組員一同は、宣誓書を出し完納の誓いをし、銃後報国に邁進することを誓ったのである。

図33 盆提灯廃止の通知(飯室 鈴木俊子家蔵)