高根沢町図書館/高根沢町史ほか

高根沢町史 通史編Ⅱ

第二章 宝積寺駅の開業と地主制の成立

第六節 農会の成立と農業生産の展開

三 米と煙草と養蚕

 明治三三年に塩谷郡役所が北高根沢村外二村の農作物の一反歩当り収支計算を発表した(『栃木県史』史料編近現代四・三〇三頁)。その北高根沢村分が表33である。これを塩谷郡平均の表34と較べると反当収量は米が一石、大麦二石一斗、小麦が六斗低い。大豆七石、小豆五石は他村と較べると異常に高いので、それぞれ七斗、五斗の間違いとみるのが妥当だろう。これも郡平均より大豆三斗、小豆二斗低い。全体的には北高根沢村の生産力水準はかなり低い状態にある。そのため収支計算では米六二銭五厘、大麦二円二三銭一厘、小麦二円五銭四厘、大豆二六銭五厘、小豆六五銭五厘、煙草四円六八銭五厘の赤字になる。
 赤字の原因は反収が低いだけではなく、米を除く麦・大豆・たばこ耕作の一反当り人夫の多さにある。郡平均では麦・豆類は八人、たばこは三〇人だが、特に北高根沢村のたばこの八〇人は突出している。畑作にかかる労働量の多さが赤字を大きくしている。また、米作は郡平均人夫三七人に対して二二人と約六〇パーセントの労働量であるが、反収は五四パーセントなので労働の生産性はやはり低い。それで、北高根沢村の平均的農家の経営は人夫賃すなわち家族労働や雇用労働の労賃を切り下げることによって維持されていることになる。
 こうした土地生産力の低さと労働の生産性の低さを改善することが、この後の農事改良の課題となっていくのである。
 
表33 明治33年農作物収支計算北高根沢村
穀類種目一反歩当
種子量
種子代金人 夫人夫賃肥料種類肥料代金租 税地方税
賦課税
町村税諸税合計収穫高売買代金
石  七〇 円  四三六二二 六円 六〇〇厩肥〆粕
過燐酸
五円 五〇〇円  八〇二円  四六八円  一五二一円 四二二石 一二〇〇一三円三三三
大  麦   八〇    三二〇一〇 三  〇〇〇堆肥藁灰
米糖過燐酸
二  〇〇〇   三四五   二〇二   〇六六   六一五一  〇〇〇三  七〇四
小  麦   五〇    四五四一二 三  六〇〇二  〇〇〇   三四五二〇二   〇六六   六一五   六〇〇四  六一五
大  豆   〇三〇   二五〇一〇 三  〇〇〇堆肥木炭
〆  粕
二  〇〇〇   三四五   二〇二   〇六六   六一五七  〇〇〇五  六〇〇
小  豆   〇二〇   二〇〇一〇 三  〇〇〇同  断二  〇〇〇   三四五   二〇二   〇六六   六一五五  〇〇〇四  五四五
葉 煙 草   一匁    〇七〇八〇 二四 〇〇〇堆肥〆粕大
豆荏糖藁灰
六  〇〇〇   三四五   二〇二   〇六六   六一五三二 〇〇〇二六〇〇〇
   〇〇三   〇二〇一三 三  〇〇〇堆肥〆粕
藁  灰
二  〇〇〇   三四五二〇二   〇六六   六一五一  五〇〇三  七五〇
   〇〇四   〇五〇一五 四  五〇〇一  五〇〇   三四五二〇二   〇六六   六一五   六〇〇六  六六六
   〇〇三   〇二〇一三 三  九〇〇一  五〇〇   三四五   二〇二   〇六六   六一五一  二〇〇三  二四三

表34 明治33年農作物収支計算塩谷郡
穀類種目一反歩当
 種子量
種子代金人夫人夫賃肥料種類肥料代金田畑租税地方税
賦課税
村 税諸税合計収穫高売買代金
石  〇五〇〇円 二五〇三七 一一円一〇〇堆肥〆粕
人  糞
八円 〇〇〇一円 一五五円  六六三円  二三二二円 〇四九二石 二〇〇二二円〇〇〇
大  麦石  〇六〇三〇〇八  二  四〇〇堆肥人糞
過燐酸
四  五〇〇三三〇一八九〇六六五八五三  五〇〇一七 〇〇〇
小  麦〇三〇二四三八  二  四〇〇三  八〇〇三三〇一八九〇六六五八五二〇〇九  八〇〇
大  豆〇二〇一六〇八  二  四〇〇堆  肥二  〇〇〇四〇〇二三〇〇八〇七一〇一  〇〇〇八  〇〇〇
小  豆〇二〇二二〇八  二  四〇〇一  五〇〇四〇〇二三〇〇八〇七一〇〇  七〇〇七  七〇〇
葉 煙 草一匁 〇七〇三〇 九  〇〇〇堆肥人糞
米  粕
六  〇〇〇三〇〇一七二〇六〇五三三三〇貫〇〇〇二一〇〇〇
合  計一  二四三九九 二九 七〇〇二五 八〇〇九一五一  六七三五八四五  一七二八石 
三〇貫
六〇〇
〇〇〇
八五 五〇〇

備考 本表ハ一反歩当リニ対スル収支計算ニシテ種子代人夫賃肥料代収穫高売買代等平均ヲ掲グ。田畑税等ハ上中下ノ差アルモ平均額ヲ掲グ。モ平均額ヲ掲グ。