高根沢町図書館/高根沢町史ほか

高根沢町史 通史編Ⅰ

第四編 近世

第五章 商品生産の発展

第一節 農間余業の広まり

一 農間余業と商品作物


1図 綿・菜種など手広く買入れていた在方商人阿久津家の前景(上高根沢 阿久津恵一家)

1表 元治2年(1865)上高根沢村阿久津家の綿製品の買入高
地域名購入製品の種類買入金額
西根種綿・綿実2両3分00文
太田村種綿・繰り綿・木綿織物・綿実8両1分2朱31貫260文
栗ケ嶋村木綿織物・糸5貫500文
桑窪村木綿織物3貫50文
平田村木綿織物3貫232文
市塙村種綿1両
宇都宮町赤綿3両
上高根沢村種綿1両146文
稲毛田村木綿織物・赤繰り綿5両3分15貫169文
前高谷村木綿織物2貫865文
簗瀬木綿織物4貫900文
日の町木綿織物3両424文
川又木綿織物6貫200文
無記名種綿・糸・綿実・繰り綿他4両2朱86貫92文

出典:上高根沢 阿久津恵一家、元治2年「綿買入帳」(史料編Ⅱ・497頁)
 
2表 慶応2年(1866)上高根沢村阿久津家の諸品買入高
地域名購入製品の種類買入金額
西根綿実252文
太田村菜種・大麦・籾・米16両3貫757文
栗ケ嶋村6貫
平田村木綿織物1分1貫648文
台新田村種綿・綿種・木綿織物1分3貫742文
寺渡戸村綿種・米12両2貫440文
赤堀新田記載なし2貫274文
西高谷村綿実・米7両1分600文
前高谷村菜種2分1貫444文
簗瀬菜種1両3分303文
東高谷村菜種1分1貫69文
上高根沢村11両1分1貫174文
嶋之内木綿織物3貫300文
堀之内6両1分1貫175文
無記名種綿・綿実・木綿織物・米・菜種12両2分5貫30文

出典:上高根沢 阿久津恵一家、元治2年「綿買入帳」(史料編Ⅱ・497頁)
注.西根・築瀬は上高根沢村の字、堀之内は太田村の字、嶋之内は不明、川又は豊郷村の上川俣(現宇都宮市川俣町)か
 
 上高根沢村上金井の阿久津家は、在方商人として近隣の村々から商品を買い集めていた。同家が元治二年(一八六五)に買い入れた綿及び綿織物・糸の金額は、1表の通りである。これによると、一年間に買い入れた種綿は五両一分と百文、赤綿三両、繰り綿四両二分二朱と一貫六百九十三文、糸二朱と十貫三百七十七文、綿二両、せま反物三十九反で三両と百一貫五百四十六文、広反物十反で三十一貫三百五十文、木綿十一反で二十六貫七百十五文、総額で十八両と百七十一貫七百八十一文である。これら大量の綿織物や綿は周辺の農村から買い入れられ、売り捌かれていた。したがって、高根沢町域の村々が、商品作物である綿を栽培し、現金収入の源としていたことが裏付けられる。
 翌慶応二年(一八六六)には、綿以外に綿実や菜種・大麦・米・籾の買い付けもされている(2表)。綿及び綿織物・糸の年間の買入は、広反物二反で六貫七百文、せま反物二反で一分と一貫七百六十八文、綿実一両一分と三貫八百七十二文、種綿一分と一貫七百文、糸六貫である。この他に、菜種九両三分と二貫四百四十五文、大麦二両一分と九百五十二文、玄米四十七両三分と五貫七百二十七文、籾六両と一貫二百五十七文の買入があり、これらの総額は六十七両二分と二十四貫四百二十一文である。前年の買入額と比較してみると、綿だけの商売に対し、菜種や米を加えた商売の方が、約一・六七倍の商い高になっている(前頁参照)。しかし、綿織物に限ってみると、元治二年には六十反の買入量であったが、翌年にはわずか四反に減っている。その後のことについては、史料不足のため推移は不明である。