高根沢町図書館/高根沢町史ほか

高根沢町史 通史編Ⅰ

第二編 原始古代

第二章 縄文時代

第二節 縄文人の生業

二 常食と新技術

 木の実、特に堅果類は保存が可能で生産性が高いことから、縄文人の重要なタンパク源であったことは言うまでもない。クリやクルミは熱処理をすることにより、柔らかくより美味になるが、生でも食べられる。しかし、ドングリやトチはアクが強く生では渋くて食べられない。
 ドングリについては煮沸して水に哂すことによりアクは取れるが、トチのアクは非水溶性のためそれだけでは食べられない。民俗例によると、トチの実は乾燥→温め→皮むき→煮沸→水晒し→灰汁につける→洗いといった多くの工程を経てはじめてアクが抜け食料となる。灰の量、湯の温度などにはかなりの熟練が必要で、難しい作業であったと考えられる。また、水哂しを効果的にするために、トチの実を前もって磨り潰していたことは、多数の石皿や磨石の存在などから想像することができる。
 アク抜き処理されたトチやドングリは、粥状に煮て食べたり、団子状に練って汁に入れたり、蒸したり、焼いたりして食べたものと思われる。これらに、シカやイノシシの肉のミンチを混ぜたり、塩などで味付けを行ったことが山形県押出遺跡をはじめ、全国各地から出土しているクッキー状炭化物の分析で明らかにされている。