高根沢町図書館/高根沢町史ほか

高根沢町史 通史編Ⅰ

第一編 自然

第二章 高根沢町の風土

第三節 動物と植物

一 動物

(五)昆虫類

 昆虫類は種数が膨大なので、注目される種について解説する。
 「栃木県動植物分布図」によれば、環境庁が選定した指標昆虫類一〇種のほか、栃木県の特定昆虫類に選定されている昆虫類が六八種ある。
 町内では、特定昆虫類のマダラヤンマ・ハネビロエゾトンボ・チョウトンボ・キバネツノトンボ・ジャコウアゲハ・シルビアシジミ・クロコムラサキの七種が記録されている(10図)。
 このうちシルビアシジミは、関東地方以南の本州・四国・九州・南西諸島に分布する暖地系種で、本町や氏家町・塩谷町を流下する鬼怒川流域が国内の分布北限となる。歴史的にみても、本種はフェントンにより明治一四年(一八八一)に東北本線岡本鉄橋付近で採集・新種記載されたもので、鬼怒川とはゆかりの深いチョウである。年三~四回、五~一〇月に羽化する。幼虫はミヤコグサを食餌とし、幼虫態で越冬する。
 クロコムラサキは、コムラサキの羽が黒くなった遺伝的一型で、九州や静岡県・石川県の一部では、比較的普通にみられる。しかし、他の地域ではまれで、県内では宇都宮市柳田の鬼怒川畔が生息地とされ、本種は市の天然記念物に指定されているものの、最近は記録がない。
幼虫はヤナギ類の葉を食餌とするため、ヤナギ類の多い河畔林に偏った分布を示す。

10図 高根沢町の特定昆虫類の分布(「栃木県動植物分布図」より改写)