常総市/デジタルミュージアム

石下町史

第三編 近世

第八章 幕末の石下

第三節 戊辰戦争と庶民の立場

政府追討軍の大通行が頻々とするなか、世相の騒擾も静まるものではなかった。不安定な治安の間隙をぬって、悪党の横行が顕著化してきた。悪党は旧幕府兵の脱走集団ばかりでなく、「官軍の姿に仕成押込盗又は金穀強談などいたし候族」まであった。官軍とはいえ、軍規が十分に整っているとはいえず、なかに暴走する兵士がいたとて不思議はない。政府もこうした不良分子の存在には頭を痛めていた。
 その打開策のひとつとしてとられたのが、あらかじめ一村ごとに印鑑証書を配布しておき、「官軍出役の由申唱来り、金穀人馬の儀」の調達を強要してきた時には、先の印鑑証書との引合わせをおこない、証書所持せぬものは用捨なく差押えて、役所へつきだすようにというものであった(秋葉光夫家文書)。
 また六月からは、真壁町陣屋に詰めていた役人が、「多人数最寄村々御鎮撫として、時々御巡見の上御取締遊され候に付」悪党・博徒どもが近在より退散していき、徐々に治安回復の実効があがっていった(新井清家文書)。