常総市/デジタルミュージアム

石下町史

第三編 近世

第八章 幕末の石下

第二節 世相の動揺

筑波勢の強盗同然の金穀調達は、六月末から燎原の火のごとく燃えひろがった。筑波周辺は先にみたとおり、北総一帯・土浦・石岡・遠くは鹿島・行方、そして佐原・銚子までと範囲は広い。人々が「天狗」の名に戦々恐々とするなか、その名を借りて糧食を得ようとする偽天狗まで現われた。
 七月十一日、大園木(現千代川村)に一人の天狗が来た。この男、吉沼で竹槍を作り、人足にでた金作というものに大小を差させて、あとから五〇人程が来るから騒ぐな、と村人を脅して馬二匹と人足五人をださせた。それより、四ケ村(現千代川村)の孫兵衛(飯泉)方へ行き、刀を押借りして案内三人をださせた。そのあとも、小保川の七郎兵衛(中山)方では脇差二腰、三右衛門(武笠)方では槍一本、染屋(中山)では刀のほかに金入れ、本石下の天満屋(竹村)、染屋伊作(和田)方などにも押し込み、新石下の住吉屋では人足に酒肴をふるまわせている。そして、新石下問屋(野村)に出向いて、槍で板戸を突きとおして妻女を追いまわし、あまりのその失態に従者金作にとりおさえられる、といった笑止千万な事件も起きている(『天狗騒ぎ』)。