常総市/デジタルミュージアム

石下町史

第二編 中世

第五章 中世のくらしと文化

第二節 寺社と信仰

石下町内にある神社ではないが、豊田氏と深い関係にあったとされるのが金村別雷(かなむらわけいかずち)神社(現つくば市)で、「金村雷神社」「雷神さま」と通称されている。小貝川の東岸にあり、同川を挟んで西岸やや北側に豊田城跡が位置する。豊田政幹(伝承ではのちに「基」の字に替えたとされる)が五穀豊穣を祈願するために西加茂別雷神社の分霊を勧請してきて祭ったとされ、豊田氏の守護神として代々尊崇されてきたといわれる。社伝によれば前九年の役で源義家に従った豊田政幹が阿武隈川の先陣を心掛けて浅瀬を捜していたところ、豊田軍が持っていた旗に描かれた蟠竜が、たちまち大竜となって旗から抜け出して、川の中に横になり橋のようになった。そこで、豊田軍は竜の背を渡り、敵陣に攻め込み大功をたてることができた。そこで、この旗を金村別雷神社に納め祭祀し、豊田氏の守護神としたというのである。なお、この蟠竜の旗は、のちの戦国時代に豊田氏が多賀谷氏と戦った際に、自軍を鼓舞するために、戦陣に持ち出されたが、敗走した折に法光寺(現結城郡千代川村)の松に掛けたまま、置き去りにしたという。この蟠竜の旗と称されるものが法光寺に存在する。近年まで、金村別雷神社の祭札の折には、この旗を同社に貸し出していたという。また、旗を掛けた松は、相当に大きなもので「ハタカケの松」として知られていたが、現在はない。
 同社は豊田城の対岸やや下流に位置することをみると、豊田氏の守護神として、すなわち宗教施設であったことはむろんのこと、豊田城における川を隔てた館としての役割も担わされたのではないかと考えられる。
 

Ⅴ-28図 金村別雷神社


Ⅴ-29図 蟠竜旗(千代川村法光寺蔵)