弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

資料編1(考古編)

新編弘前市史 資料編1(考古編)

第4章 中世・近世

第5節 陶磁器類

 16世紀の指標となる陶磁器は、中国製染付や美濃瀬戸大窯期の出土製品に現れる。染付そのものは15世紀代から出現するようであるが、北日本においては、15世紀後半から16世紀末までの存続期間を有する遺跡に多く、染付の出現を特定できる紀年銘資料を持ち合わせていないため初源の具体的な様相は分からない。また、美濃瀬戸大窯期の灰釉・鉄釉資料は、出土する遺跡がある程度限定されるため、16世紀であることの判定指標としては最適なものである。その事は、染付や美濃瀬戸大窯期の資料をまったく出土しない十三湊の資料に端的に現れ、16世紀の空白の「湊」を調査することが急務の課題となっている。
 16世紀の代表的な遺跡としては、浪岡町浪岡城跡、八戸市根城跡、北海道上ノ国町勝山館があり、ほぼこの三遺跡から出土する陶磁器によって16世紀における搬入陶磁器について理解することができるであろう。
 浪岡城跡はその継続年代が長いものの、16世紀の資料が青森県内で最も多く出土している。その中の中国製品を見ると、青磁は碗の外面文様である蓮弁文が線描になる例(図11-2・3)と無文(図11-1・5)さらに内面に人物画を彫りこむものや(図11-4)陽刻文を施す例(図11-5)がある。皿は各種存在する物の稜花皿(図11-8)や小型の内湾形のもの(図11-7)がある。青磁の小鉢(図11-9)は珍品である。白磁は尻八館でも出土している内湾形の小皿(図11-10・11)に代わって、硬質で口縁が端反(はぞり)する皿(図11-12・13)が量的に圧倒している。小杯についても図11-15の八角型から図11-16に代わるようである。なお、輪花状の形態を示す皿(図11-14)もある。染付は、16世紀を代表する陶磁器であり、碗(図12-1~3)、皿(図12-4~9)、大皿(図12-10)、小皿(図12-11)、壺(図12-12・13)、小杯(図12-14)などが存在する。

図11 浪岡城跡出土陶磁器実測図(1) 青磁・白磁


図12 浪岡城跡出土陶磁器実測図(2)