弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

資料編1(考古編)

新編弘前市史 資料編1(考古編)

第3章 古代

第3節 飛鳥・奈良・平安時代

3.古代の生産活動と生活用具

(7)機織り

 機織りの技術は、縄文時代晩期の終りころに大陸から伝わったと考えられており、弥生時代には全国各地で機織りに関する遺物が出土している。さらに、奈良・平安時代になると、津軽地方においても紡錘車や苧引金が普通に出土するようになる。紡錘車は7~8世紀のものは土製であるが、9世紀以降になると、一部に土製のものが使用されるが一般的には鉄製に推移する。また、13世紀以後になると木製のものが出現し、近世・近代まで使用される。7~8世紀の土製の紡錘車は、直径が4~5cm、断面形状が台形のものが用いられる。軸は木製のため現存していない。鉄製の紡錘車は、厚さ0.2~0.3cm、直径4~5cmの円盤に鉄製の軸が取り付けられたものである。軸は角柱で長さは20~25cmである。9世紀以後12世紀までは形状に大きな変化はない。

図85 奈良時代の土製紡錘車


図86 平安時代の鉄製紡錘車(1)


図87 平安時代の鉄製紡錘車(2)

 苧引金は草木科の茎や、樹皮から繊維を取り出す道具であるが、従来は手鎌あるいは、穂摘貝様鉄器などと呼ばれ、稲作に主体的に使用される道具と考えられているが、近世及び近代まで使用された苧引金の祖形と見るべき鉄製品である。津軽地方の各集落跡で出土している苧引金は、9世紀中葉以後11世紀までのもので、厚さ0.2cm、長さ7~11cm、幅2~3cmの鉄板の両端に目釘穴を開け、両面を木製の板で挟んで、固定したものである。一端に刃部が形づくられているが、磨耗して湾曲をなすものが多い。

図88 平安時代の苧引金