弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

資料編1(考古編)

新編弘前市史 資料編1(考古編)

第3章 古代

第3節 飛鳥・奈良・平安時代

3.古代の生産活動と生活用具

(6)漁業

 青森県内では、現在のところ、漁業を専業とする漁村集落跡や、それに関する遺構は発見されていない。漁業の痕跡は、農村集落から鉄製釣針やヤス・モリあるいは漁網の土錘が発見されているにすぎない。
 鉄製釣針は、青森市三内遺跡や蓬田村大館遺跡・尾上町李平下安原遺跡などから出土している。三内遺跡の場合は、3軒の竪穴住居跡から、大きさが5~6cmのものが合計13本出土している。陸奥湾内での、タラなどの大型魚のはえなわ漁に用いられたものと想定している。
 また、ヤスやモリは、大鰐町大平遺跡・黒石市高館遺跡から出土している。

図83 古代の鉄製釣針・ヤス・モリ

 一方、土錘の出土例は多くて9遺跡を数える。土錘は直径0.6~10cm、長さ4~6cmの円筒型で、長軸に貫通孔があり、投網の錘と推定されている。農業を営みながら、集落近くの湖沼や河川を対象にした網漁が行われていたのであろう。
 なお、鉄製釣針も土錘も出現する時期は9世紀後半以降であり、本県ではそれ以前の出土例はない。

図84 平安時代の土錘