弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

資料編1(考古編)

新編弘前市史 資料編1(考古編)

第2章 旧石器・縄文・弥生

第2節 縄文時代

4.縄文時代の石器及び石製品

 青森県における石器及び石製品は表4に示したとおりである。これらの中で本県を中心に多く発見される石器は、利器では箆(へら)状石器・トランシェ様石器、石製品として半円状扁平打製石器・青竜刀形石器などである。前期の円筒下層a並びにb式土器に伴う凝灰質泥岩を利用した円形を呈する岩版も、特殊なものといえるかもしれない。この遺物は、沈線で図15に示したような十字あるいは複数の線刻を加えている。ところが晩期に再出現する岩版は、方形ないし長方形をなしており、三叉・渦巻などの文様が施されている。また、平川流域の碇ヶ関村大面(おおつら)や下北の大畑町涌館(わくだて)遺跡等で出土した動物型石製品も、特殊な遺物としてとらえることができよう*64。哺乳動物をモデル化したものであろうが特定できない。
表4 土器編年別石器・石製品出土表
時代型式名石鏃石槍石錘浮子石皿磨石敲石凹石打製石斧石鍬磨製石斧環状石斧独鈷石箆状石器スクレパー石匙
無茎有茎柳葉形アメリカ型局部擦切扁平片刃定角

乳棒状
縦形横形斜(中間)形
縄文時代草創期(無文土器)                  
(隆線文系土器)                        
(爪形文系土器)                        
早期日計                      
白浜・小舟渡平          
根井沼                  
寺の沢                    
物見台・千歳          
蛍沢AⅡ式                    
吹切沢,早稲田1・2類               
ムシリⅠ式       
表館Ⅵ群                        
赤御堂         
早稲田5類              
表館Ⅸ群                        
前期表館Ⅹ群                        
表館ⅩⅡ群                        
表館ⅩⅢ群                        
長七谷地Ⅲ群                        
表館・芦野Ⅰ             
早稲田6類                     
深郷田                   
円筒下層a         
円筒下層b      
円筒下層c               
円筒下層d1     
円筒下層d2          
中期円筒上層a                 
円筒上層b                      
円筒上層c                 
円筒上層d                 
円筒上層e              
榎林           
最花、中の平Ⅲ         
大木10                 
後期牛ヶ沢                        
沖附                        
弥栄平                        
十腰内Ⅰ       
十腰内Ⅱ         
十腰内Ⅲ            
十腰内Ⅳ              
十腰内Ⅴ       
晩期大洞B              
大洞BC         
大洞C1           
大洞C2           
大洞A                        
大洞A’                   
弥生時代前期砂沢             
五所・二枚橋           
中期宇鉄Ⅱ・井沢           
田舎館               
後期念仏間                    
天王山(鳥海山)                        

時代型式名石錐半円状扁平打製石器玦入扁平磨製石器砥石トランシェ様石器異形石器不定形石器剥片利用石器礫器石弾玦状耳飾臼玉

管玉

丸玉
匂玉硬玉製大珠有孔石製品(垂飾品)石棒石剣石刀青竜刀形石器石冠岩偶岩版円盤状石製品動物型石製品
縄文時代草創期(無文土器)                      
(隆線文系土器)                        
(爪形文系土器)                        
早期日計                       
白浜・小舟渡平                   
根井沼                       
寺の沢                       
物見台・千歳                      
蛍沢AⅡ式                      
吹切沢,早稲田1・2類                     
ムシリⅠ式                     
表館Ⅵ群                        
赤御堂                      
早稲田5類                      
表館Ⅸ群                        
前期表館Ⅹ群                        
表館ⅩⅡ群                        
表館ⅩⅢ群                        
長七谷地Ⅲ群                        
表館・芦野Ⅰ                       
早稲田6類                        
深郷田                       
円筒下層a               
円筒下層b          
円筒下層c                      
円筒下層d1            
円筒下層d2                  
中期円筒上層a                     
円筒上層b                        
円筒上層c                      
円筒上層d                      
円筒上層e                   
榎林                     
最花,中の平Ⅲ               
大木10                     
後期牛ヶ沢                        
沖附                        
弥栄平                        
十腰内Ⅰ         
十腰内Ⅱ                   
十腰内Ⅲ                  
十腰内Ⅳ                     
十腰内Ⅴ              
晩期大洞B             
大洞BC          
大洞C1                
大洞C2                   
大洞A                     
大洞A’                      
弥生時代前期砂沢                  
五所・二枚橋                      
中期宇鉄Ⅱ・井沢                    
田舎館                     
後期念仏間                       
天王山(鳥海山)                        
○出土した石器・石製品 ●特に多く出土した石器・石製品

 岩偶は、前期の円筒下層b式土器期に出現して、前期末の同下層d2式土器期まで存続し、その後しばらく絶えて晩期になると再出現する。馬淵(まべち)川の支流である熊原川の上流域に面する遺跡に多い。
 青竜刀形石器は、『雲根志(うんこんし)』三編巻之五に「その形状青竜刀ともいうべし」とあり、木内石亭(1724~1808)によって遺物名が付されたのである*65。江坂輝彌が、かつて250例を集成し詳細に論述している*66。その後、本県のみでも数量は増加し、約40点近くになった。この石器は、中期終末に近い最花・中の平Ⅲ式土器期に出現し、晩期の大洞BC式土器期にかけて認められるが、大半は伝世品であり、調査の際に出土した例も少なく、時期を明確化できないものが多い。形状はともかく、刃器としての使用は不可能である。