弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

資料編1(考古編)

新編弘前市史 資料編1(考古編)

第2章 旧石器・縄文・弥生

第2節 縄文時代

3.青森県における土器の出現

 本県では、昭和46年(1971)秋、先端を磨いて鋭利な刃部を構成している1個の局部磨製石斧が、蟹田中学校の一町田教諭を経て県立郷土館に寄贈された。その石斧の出土した蟹田町の大平山元Ⅰ遺跡は、郷土館の事業として昭和50年(1975)11月上旬に調査が行われ、旧石器的技法によって作成されている石器に加えて土器片も出土し、翌年8月下旬の調査によって、これらの石器に土器が伴うことを確認したのである。
 出土した土器はすべて破片であり、総数はわずか32点である。これらの土器片を並べて完形土器を想定すると、平縁で平底の無文鉢形土器(浅鉢形か)になるのであろうか。土器の厚さ・胎土・焼成などから7個体が考えられるという*13
 青森県内では現在のところ、この大平山元Ⅰ遺跡で出土した無文土器が最古と考えられ、続いては昭和62年(1987)の5月から10月末にかけて「むつ小川原開発」のための専用道路建設に伴い、上北郡六ヶ所村鷹架(たかほこ)の表館(1)遺跡が調査され、第Ⅷ層(千曳(ちびき)浮石層)上部から第Ⅶ層(千曳浮石層の漸移層)下部にかけて、65の破片で出土した隆線文土器がある。補修復元の結果、丸底風の尖底深鉢形で、底部に乳頭状の突起を持つ高さ30.5cm、口径22.0cmの土器であり、口縁から底部にかけ37条の細い粘土紐を張り付けた細隆起線文が施されている*14。同形式の土器では、大きさや形態の面でも卓越したものと言えよう(図2)。

図2 縄文時代草創期の土器
隆起線文土器…
六ヶ所村・表館(1)遺跡
(県埋蔵文化財調査センター蔵)

 隆線文土器に次いでは、八戸市是川の鴨平(2)遺跡より発見された爪形文土器がある。この遺跡は、東北自動車道八戸線の建設に伴って調査され、その折、二ノ倉火山灰層を含む第Ⅸ層から100を上回る破片が出土した。土器には金色を呈する雲母が多く含有されている。爪形文は、右下りの横位・羽状の型に施されており、文様間隔も整然としている。残念なことには、口縁部と底部が未発見のため、全体の器形を知ることはできない*15(図2)。

爪形文土器…八戸市・鴨平(2)遺跡
(県埋蔵文化財調査センター蔵)

 青森県において出現する初段階の土器は、現在上記の3形式である。この種の土器は前述のように、東北地方では当初山形県下の主に洞穴または岩陰遺跡で発見されており、同県が北限と考えられていたが、近年の調査の進展により各県でも出土し、旧石器文化を母胎に縄文文化が引き継ぐことになるようである。ただし、海を隔てた北海道では、現在なお未発見のようであり、この時代における交流は極めて難しい状況であったと思われる。
 青森県では、このような草創期の遺跡はいずれもオープンサイト(開地遺跡)であり、洞穴等ではない。