弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編4(近・現代1)

新編弘前市史 通史編4(近・現代1)

第2章 明治後期の弘前

第三節 市制施行後の弘前市経済

三 市制施行前後の商工業

明治二十年代に入ると日本経済は松方財政下のデフレーションの影響を脱し、景気が拡大に転じた。国際的な銀価下落の影響によって輸出が伸び、紡績業や鉄道業をはじめとする企業勃興がおこった。市制施行はこの時期に行われたのである。まず、市制施行直前の弘前市経済を見ていこう。
 ここで、市制施行の前年である明治二十一年(一八八八)の統計数値を見ておきたい。県内の市街地の卸売商人の内訳は表32(三二八頁)のとおりである。なお、以下の統計は後年のものと異なって「商売数」となっており、営業者の人員である。なおまた、後年の統計は戸数と商業人員となり、人員には従業員が含まれると考えられる。ただし、以下の統計でも、理髪については、理髪人数が記されている。
表32 卸売商の状況
卸売商(明治21年)
商 名総名市   街陸奥国二戸郡及六市街を除く
青森鰺ケ沢弘前黒石八戸三戸
米 穀5841………………5……12
酒 類12443211413465
味 噌58113710…………27
醤 油3953……510214
煙 草147………………151
菓 子211467284117468
呉服太物23……26……1023
魚 類24……………………5……19
小間物12…………6……51……
練 油19…………15………………4
3……………………3…………
売 薬1………………………………1
薪 炭4…………2………………2
荒 物2……1……………………1
魚 粕2………………………………2
鶏 卵7………………1…………6
醤 麹1………………………………1
11………………………………
豆 腐55………………………………
蒟 蒻22………………………………
55………………………………
合 計6331271985716918226
明20年6041132693697115217
明19年49397169881941970
明18年517117171981742963
明17年504121178981639943
5ケ年55011311492385212127
平均
青森県第一部農商課『明治21年青森県産業統計表』により作成
注)数値の誤りを補訂した。

 卸売商人については、弘前には菓子、酒類などの食品関係の商人が多いことがわかる。明治二十一年以前においては、青森県全体では卸売商人数が増大しているにもかかわらず、弘前においてはその数が横ばいになっている。
 次に、仲買商人数は表33(三二九頁)のとおりである。仲買商人については、青森県全体では明治二十一年まで増減を繰り返しているのに対し、弘前ではその数が漸減傾向となっている。この時期に弘前に特に多い仲買商人は荒物の取扱商人で、県内の半数以上を占めている。
表33 仲買商の状況
仲買商(明治21年)
商 名総名市   街陸奥国二戸郡及六市街を除く
青森鰺ケ沢弘前黒石八戸三戸
3212182
魚 類33132
煙 草21524424
大 豆6411
荒 物189921987
呉 服321
菓 子33321
541
生 糸33
味 噌44
醤 油44
穀 物1818
合 計35161201192173129
明20年2654020149123131
明19年241351140227135
明18年264371158329531
明17年271391175627122
5ケ年
平均
前掲『明治21年青森県産業統計表』により作成
注)数値の誤りを補訂した。

 小売商人は表34(三三〇頁)のとおりである。小売商人数は、青森県全体では顕著な増加傾向が見られるのに対し、弘前では漸増傾向となっている。青森県全体では、各地域ともに増減を繰り返しているが、特に市街地以外の郡部では伸びている。弘前に多い小売商人は、荒物、酒類、菓子、穀物、小間物、呉服太物の取扱商人である。
表34 小売商の状況
小売商(明治21年)
商 名総名市   街陸奥国二戸郡及六市街を除く
青森鰺ケ沢弘前黒石八戸三戸
呉服太物4393914108223014212
小間物6266681131711510297
荒 物1,316232652556210130571
穀 物7991733217323659324
書 籍391624314
筆墨紙26071127212147
酒 類1,2701473420875619799
飴餅菓物1,08119740717062641
練 油731013219227
3277122533286
古 着2523612541550283
27836253910152151
魚 類6591214285263924322
銅 鉄12820854586
味 噌4620105110
醤 油1543167110
油 類152151164930122
9682482
八百屋1746195918207
漆 器35105137
陶 器1482542587277
売 薬401855111
薪 炭861032846134
豆 腐4671231047103812227
魚獣肉382061218
造 花826
煙 草14895432548
菓 子1,007261762415716608
薬 種142912
蝋 燭232606204142
湯 葉17467
魚 粕521150
行 商6265212010444
砂 糖2513827439142118
材 木978147176
その他190431107322176
合 計11,6251,6554971,6043941,0872626,126
明20年12,9671,6173701,7394199291927,701
明19年9,0481,3759411,5292996932034,008
明18年8,8001,3521,1211,4383027092163,742
明17年8,8791,3001,4001,4672986752243,515
5ケ年10,2801,4608661,5553428192205,033
平均
前掲『明治21年青森県産業統計表』により作成
注)数値の誤りを補訂した。

 次に、雑商と分類されたその他の商人について見てみよう。その数は表35(三三一頁)のとおりである。この分に入る商人数は、県全体でも、弘前のみをとっても、大きな変化はない。また、弘前においては飲食店の数が多く、県内の他地域と対比したときの特徴となっている。
表35 雑商の状況
雑商(明治21年)
商 名総名市   街陸奥国二戸郡及六市街を除く
青森鰺ケ沢弘前黒石八戸三戸
質 屋2445933
旅 店2513673211165
船問屋24915
回漕業133142117
湯 屋18316728652119
料理屋52631212226
飲食店6713415101224123435
理髪人19327741824383
合 計1,53113755223517230963
明20年1,521140672035710445905
明19年1,78816216422155102501,034
明18年1,765184198251598039954
明17年1,737153194253459249951
5ケ年1,668155136230539043961
平均
前掲『明治21年青森県産業統計表』により作成