弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編1(古代・中世)

新編弘前市史 通史編1(古代・中世)

第5章 中世後期

第三節 南北交易と「境界地域」津軽

三 中世の道具と生産

城館の発掘調査では、戦いの道具である武具の出土数は多い。武具は、人を殺傷する攻撃の武器と、自らの身体を防御する武具の二系統に分類でき、前者には刀剣(太刀・刀)・弓矢(遺物としては鉄鏃)などがあり、後者には甲冑(かっちゅう)がある。境関館で出土している小柄(こづか)は、刀の附属品として刀装具に属し、鉄鏃は弓矢の一部品であり、攻撃の武具となる。また、小札(こざね)は甲冑の一部品で防御の武具となる。
 市内の遺跡では、古代の遺物が出土している小友(おとも)遺跡でも古い形態の小札が一点(写真177)、中崎館遺跡からは平根(ひらね)型鉄鏃一点と鑿根(のみね)型鉄鏃二点の出土がみられる。

写真177 小友遺跡出土の小札

 県内の遺跡から出土する武具をみると、太刀の刀装具として足金物(あしかなもの)、刀本体とその刀装具である鐔(つば)・切羽(せっぱ)・小柄・笄(こうがい)・目貫(めぬき)・鐺(こじり)・返角(かえりづの)、槍(やり)、各種の鉄鏃などの攻撃武具と、兜の部品である八幡座(はちまんざ)、鎧(よろい)の部品である胸板(むないた)・鳩尾板(きゅうびのいた)・小札・革札(かわざね)・縁金具(ふちかなぐ)・鞐(こはぜ)などの防御武具が出土している。
 さらに、天正年間に落城したと想定される城館からは、鉛の鉄砲玉や火縄銃の部品である火縄鋏(ひなわばさみ)が出土し、鉄砲の使用が認められる。