弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編1(自然・原始)

新編弘前市史 通史編1(自然・原始)

年表

津軽地方の気象特性と災害

二 津軽の四季と災害

この季節の前半は梅雨期で、ヤマセが吹き曇る日が多く、海岸地方では朝晩を中心に霧や霧雨の日が多くなる。しかし、津軽地方の中南部は、ヤマセの影響が弱く、朝晩曇っていても日中は時々晴れて気温が少し上がる。このヤマセが長引くと、夏らしい天気もなく、強弱はあっても冷害を受ける。月平均気温と稲作との関係では、七月または八月の平均気温のどちらかが二〇℃以下になると、作況不良になっている。県内の稲作平均一反(一〇アール)当たりの収量は、昭和二十年(一九四五)前後からみると、一九九〇年代の収量は二倍以上になっている。これは、これまでの気候経過が、長期的に比較的温暖傾向にあったことと、農業環境の改善や技術進歩などによることはいうまでもない。
 しかし、油断できないのが気象変化であり、気候変動であろう。同じこの期間、津軽海峡側や陸奥湾周辺の地方では、濃い霧が侵入する日が多くなり、交通事故や海難・飛行機事故、塩風害が発生する。
 このほか六月は、北方から寒気の南下する時期があって、大気の成層が不安定となり、雷雲が発生し、落雷や降ひょう被害も発生する。雷は、日ざしの強い午後に発生し、局地性が強く宵のころ終わる場合が多いが、昼前や夜の雷は大雨洪水になることが多い。
 七月末の梅雨明け近いころ、県内を横断する梅雨前線の活動で大雨が降り、洪水害が発生する年がある。津軽地方で観測した一時間降水量の最大は、山地一三〇ミリ、平地七〇ミリくらいで、このような短時間で降る強い大雨は、土砂崩れ・崖崩れなどの被害を伴うことが多い。日量一〇〇ミリ以上の大雨の発生回数は八月が年間で一番多い。これは、太平洋高気圧の周辺部への、高温・多湿な空気の流入による不安定性降水が主因になる。
 夏の後半、梅雨が明けると一気に盛夏が訪れ、八月中旬まで安定した夏型の天気となる。一般に、津軽地方では盛夏も残暑も短い。
 太平洋高気圧が弱まる八月半ばを過ぎると、北方から南下する寒気の影響を受けやすくなり、局地的に雷雨性の雨が降る不安定な天気が現われる。このころは、暑さも峠を越し、秋に向かって気温も下がり始める。