弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編1(自然・原始)

新編弘前市史 通史編1(自然・原始)

第1章 津軽の自然

第六節 津軽地域の気候

二 津軽地域気候の要素別特性

(三) 雪

最深積雪の平均は、その地域でどれぐらいの積雪になるかの基準になる値とみてよい。次に挙げる年間の最深積雪は、一九六四年から一九八五年の期間平均の値である(表18)。青森一一二センチメートル、五所川原一〇九センチメートル、蟹田八〇センチメートル、弘前八六センチメートル、黒石八五センチメートル、碇ヶ関八八センチメートル、今別七五センチメートル、鰺ヶ沢七二センチメートル、深浦四二センチメートルなどである。
表18 最深積雪・降雪量と根雪期間
観測地点最深積雪
年平均値
cm
年間降雪
量平年値
cm
平年根雪期間最深積雪日降雪量の
最大値
初日
月日
終日
月日
日数最大値最小値
cm年月日cm年月日cm年月日
青 森11262312/113/281082091945/2/21421949/ 3/ 2651967/12/27
深 浦4219212/243/1077911984/2/13121948/11/19361964/ 2/23
弘 前8642512/133/251031441945/2/ 4281932/ 1/28401982/12/ 1
五所川原10942012/143/261032121945/2/28251930/ 2/12601974/ 1/26
碇ヶ関8851212/113/281081481939/2/10261973/ 3/ 7631968/ 2/12
今 別7536812/163/20951501984/2/29211972/12/22501968/ 1/21
黒 石8546612/123/271061591945/2/21261949/ 1/27451954/ 1/22
鯵ヶ沢7224012/173/23972001968/2/14341979/ 1/31481981/12/20
蟹 田8041012/163/22982451936/2/28341932/ 2/10341932/ 2/10
1.統計年数最深積雪1964~1985
最深積雪の最大・最小値1927~1995
年間降雪量1953~1985
日降雪量最大値1953~1995
根雪期間1956~1985
2.積雪・降雪量は9時1回の観測値
3.東北地方の積雪と降雪(仙台管区気象台より)

 地域分布でみると西海岸の深浦四二センチメートルを除き、各地とも五〇センチメートル以上で、青森・五所川原が一〇〇センチメートルを超え平地で最も積雪が深い地帯になる。西海岸で四〇~七〇センチメートル、弘前、中・南津軽地域で八〇~九〇センチメートルとやや多い。山地の酸ヶ湯(標高九二〇メートル)では統計年一九七六~一九九〇年の平均値が三九五センチメートル、期間の最大値が六二〇センチメートル。岳(だけ)(標高四四〇メートル)では三五〇センチメートルがある。これらは平地と同じ統計年で求めると、これより深い積雪が考えられる。八甲田山系周辺では雪深く、かなりの面積で五メートル以上を占めるといわれる。
 最深積雪が平地で二〇〇センチメートルを超えるのは多雪地でもまれで、津軽地域では約一〇〇年の再現期間になる。昭和二十年(一九四五、太平洋戦争の終結年で大冷夏でもあった。)は、青森や五所川原・三厩(みんまや)・東目屋(ひがしめや)で最深積雪が二〇〇センチメートルを超す豪雪・寒冬年であった。この年、弘前一四四センチメートル、黒石一五五センチメートルで統計期間中の最大値になっている。この年の積雪分布は、平年積雪・降雪量分布によく似ている。
 積雪が最も多くなる時期は、平地で二月中旬、山間部では二月下旬から三月上旬が中心になっている。平均の根雪初終期間をみると、津軽地域の平地平均は、初日が十二月上旬末から中旬、終日は三月下旬で約一〇〇日期間になる。細かくみると海岸では十日くらい短く、特に深浦では約八〇日と最短期間になっている。青森市における最長根雪期間は、昭和五十九年(一九八四)十一月二十五日~四月十八日の一四六日。また、最短は昭和二十四年(一九四九)一月四日~二月三日の三一日がある。山地の酸ヶ湯では、十一月下旬から五月中旬までの根雪期間で約一六〇日。一五ヵ年統計期間で最も長い年の初日が十一月中旬、終日が五月下旬であった。最深積雪の多少の幅は、津軽地域を平均して、平年の最深積雪に比べ、多雪年で二倍前後、少雪年は三分の一から半分ぐらいで変動している。
 多雪地帯の雪害には、降雪・積雪による交通障害、吹雪、雪崩、着雪、融雪・洪水、雪の重さによるものなどがある。そのうち、津軽地域で発生した融雪・洪水による災害例がある。寒冬・多雪年であった昭和二十年(一九四五)三月二十三日の真夜中の一時ごろ、西津軽郡赤石村(現鰺ヶ沢町)赤石川上流域の大然(おおじかり)集落で、日本海低気圧による雨(津軽南部地域で四〇~五〇ミリ)と雪解け水により雪崩が発生。その後、高さ約三メートルに達する土砂まじりの水流のため、家屋二〇戸、非住家二八棟、水田一五〇町歩の流失・埋没被害が発生した。この時八八名の人命が瞬時に失われた。土石流の規模もさることながら、寒い深夜であったため生存者皆無の大惨事となった。また、この日に中村川岩木川流域でも水田埋没二五〇町歩などの融雪・洪水害が発生している。