弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編1(自然・原始)

新編弘前市史 通史編1(自然・原始)

第1章 津軽の自然

第六節 津軽地域の気候

二 津軽地域気候の要素別特性

(三) 雪

津軽地域は雪国である。月別降水量でみるように、夏から秋にかけての季節のほかに、冬期間にも降水量の極大値があって、降雪・積雪の多いことを示している。全域が豪雪地帯に指定されていて、このうち三市九町村は特別豪雪地帯の指定地域になっている。しかし実際には雪片の落下速度が遅いことなどもあり、局地性が強く年により降雪分布も変わり、同じ地点の降雪・積雪量の変動幅も大きく、津軽地域でみれば必ずしも固定的なものではない。また津軽地域の積雪は、暖候期の農業用水や工業用水、生活用水としての貴重な水資源の自然貯蔵として注目されている。さらには、冬のスポーツ・レジャーにとっても欠くことのできないものである。
 雨から雪に変わる地上気温は、大気の下層から上層の状態に関係があって微妙である。統計的には地上気温二~四℃(三℃前後)である。この場合、地上から約一五〇〇メートルの高さでは氷点下六℃、約五〇〇〇メートルの高さでは氷点下二七℃か一応の目安になる。なぜ上空の気温かというと、現代の天気予報は、コンピューターで求められる各種予想天気図がもとになっているからである。気温や気圧、風といった気象要素の予想値を求める場合、地上付近は地形、地物の影響が大きいため、この影響が除去される上層の値が初期値として利用される。こうしたことから、上層の予想気温で地上気温を求めたり、将来の降雪の予想に上空の気温が問題になる。
 津軽地域の雪は、主として西よりの季節風の吹き出しによる寒気にかかわるものである。したがって、シベリア気団は日本海を南下するとき、下層が対馬暖流による高温な海表面水温により変質するので、寒気団の強弱を知るには上空約五〇〇〇メートルの気温が目安になる。下層が暖湿で上空が乾燥して気温が低いほど大気は不安定となり、背の高い対流雲ができて降雪量が多くなるということである。ほかに、約三〇〇〇メートルや一五〇〇メートルの予想値も用いられる。
 津軽地域の降雪は、高層観測がある近くの秋田上空約五〇〇〇メートルの気温から、次のように見当がつけられる。
●氷点下三五℃以下の場合は、どこかで大雪になる。平地で真冬日の所が出てくる。

●氷点下四〇℃以下の場合は、平地で大雪の所が多くなる。また、どこかで豪雪地点が現れるという目安。平地の全域で真冬日の寒さになる目安。

 青森県内の大雪注意報と大雪警報の基準は、二十四時間の降雪量で次のようになっている。
●大雪注意報 平地二〇センチメートル、 山沿い三〇センチメートル
(注)この場合の山沿いは、おおむね標高二〇〇~三〇〇メートル以上の山地

●大雪警報  平地五〇センチメートル、 山沿い七五センチメートル

 大雪と豪雪の区別ははっきりしないが、大雪注意報の基準以上の降雪量(平地で二四時間に二〇センチメートル以上)がある場合を大雪、大雪警報の場合(平地で五〇センチメートル以上)を豪雪と呼ぶことがある。
 日本海側の雪の降り方に、山雪(やまゆき)型と里雪(さとゆき)型がある。どちらも西高東低の冬型の気圧配置のときに降り、寒気が強いほど降雪量が多くなる。両者の区別は、シベリア大陸から南下する約五〇〇〇メートル上空の氷点下四〇℃前後の寒気が、日本海中部に入るか(里雪型で、地上天気図では日本海が袋状になって季節風が弱い)、北海道方面に進むか(山雪型で、等圧線が縦じま模様で季節風が強い)による。また、寒気の強弱は、日本海に発生した雪雲の大陸からの離岸距離が近いか(強い寒気団)、遠いか(比較的に弱い寒気団)で中心付近の寒気の強弱が推察できる。居座っている寒気団の模様は、季節風によりできた筋状の雪雲が大陸から離れ出すことで、寒気の補給がとだえたか、後退かなどを知ることができる。
 弘前市周辺の降雪の特徴は、地上天気図で強い西寄りの季節風が吹くときは降雪があっても積雪が少なく、北よりの風になるときに降雪が強くなり積雪が多くなるといわれている。