弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編1(自然・原始)

新編弘前市史 通史編1(自然・原始)

第1章 津軽の自然

第六節 津軽地域の気候

二 津軽地域気候の要素別特性

(二) 降水量

気象庁では、本県の場合二四時間降水量七〇ミリ以上を大雨注意報(油断すると社会生活に障害が現れ始める状態)基準としているが、ほかに短時間における降水量基準がある。大雨による災害の起こり方は、地形・地質などと雨の降り方に密接な関係がある。雨の降り方でみれば、山・崖崩れや都市の浸水害などは、集中的に降る短時間雨量に大きなかかわりをもっている。そのため、大雨注意報・大雨警報基準は、災害の起こり方別に「一時間雨量」「三時間雨量」「二四時間雨量」の三通りについて定め、場合によっては「総雨量」を考慮に入れている。
  青森県大雨警報基準(洪水警報も同じ基準で、重大な災害が発生する恐れがある場合)でみると、
   ●一時間に四〇ミリ以上で、合計雨量八〇ミリ以上
   ●三時間に八〇ミリ以上
   ●二四時雨量で一四〇ミリ以上
 などとなっている。大雨警報基準は地方により異なり、平均的に二四時間降水量平均でみると、北日本で一〇〇ミリ、東日本で一五〇ミリ、西日本で二〇〇ミリが大体の目安になっている。
 津軽地域で観測された二四時間降水量(降水が雨だけの場合は雨量。発達した積乱雲からは、集中豪雨時にひょうなども降ることがある。)の第一位は四二二ミリで、昭和三十三年(一九五八)八月十一日に中津軽郡西目屋(にしめや)村尾太(おっぷ)で記録されている。当日の気象状況は、秋田県境付近に前線が停滞して、白神(しらかみ)山地を中心に豪雨が降ったものである。死者・行方不明者五人、家屋全半壊・流失五七戸、橋流失四九件など、被害が甚大だった。このような太平洋高気圧の縁辺部における前線性の大雨型には、他に昭和五十年(一九七五)八月六日、中津軽郡岩木町百沢(ひゃくざわ)で土石流を発生させ、二二人の死者を出した集中豪雨がある。この日、黒石では日降水量一五三ミリ、一時間降水量六五ミリの豪雨を観測している。また、一時間降水量では、昭和五十五年(一九八〇)六月十七日午前六時から七時にかけて、八甲田ロープウェー(標高一三一〇メートル)で一三〇ミリという集中豪雨を記録している。梅雨前線活動の活発化に伴うもので、気温の低い高緯度としては異常なものである。
 近年、こうした短時間の大雨による災害が問題化している。県内の事例解析でも、短時間強雨の一~五時間後に災害が発生し、被害が大きくなる傾向がわかる。そして、どんな場合でも一時間に五〇ミリ以上の雨量があれば重大な災害に結びつく恐れがあり、厳重な警戒が必要になる。
(注)大雨・豪雨とは、雨量が際立って多いことで、集中豪雨は地域的、時間的に異常に多量の雨が集中して降る状態。しかし雨量に関する定量的な定義はない。注意報・警報の基準値が、その地域における大雨・豪雨の目安になる。各注意報・警報の基準値は、青森県における過去の災害記録との対応で求めたもので、この時代の災害気候値の一面がある。