弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編1(自然・原始)

新編弘前市史 通史編1(自然・原始)

第1章 津軽の自然

第五節 山地と丘陵の生い立ち

三 日本海の誕生と海底火山の活動

恐竜類の絶滅を招いたような、地球史上のある特定の短い時期に起きた出来事を、地質事件(地質イベント)と呼ぶことがある。地質事件の中には地球外天体が地球に衝突したり、大量のマグマが流出することによって環境が激変し、生物群を大量死させたり絶滅に至らせることなどがある。また海中の酸素の量が極端に少なくなって水中の生物が大量死し、海底の広い範囲に有機質の黒色泥が堆積した例も知られている。
 中新世の中頃(一六〇〇万年前ごろ)に、その前後の時代に比べると短い期間ではあったが、非常に暖かくなった時期がある。それはおもに海の生物相に特徴的に認められるので、熱帯海洋気候イベント(土、一九九四)と呼ばれることがある。この時には特に海水の温度が急激に上昇し、熱帯性の貝類が東北日本にもみられるようになり、熱帯から亜熱帯域の海岸に生育するマングローブの林が山形県付近まで北上していた様子が復元されている。津軽地域は北海道南西部とともに亜熱帯に位置していた(小笠原、一九九四)。