弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編1(自然・原始)

新編弘前市史 通史編1(自然・原始)

第1章 津軽の自然

第五節 山地と丘陵の生い立ち

一 海の時代の終焉と古いカルデラの活動

このようにして、中新世の中頃からほとんど海に覆われていた時代は終わりを迎えた。鮮新世から更新世になるにしたがって、海進海退を繰り返しながら、日本列島の大部分は次第に陸域の占める割合が多い環境へと変化した。特に鮮新世の始めに入って、過去に隆起傾向にあって山地となっていたところが沈降傾向に変化し、沈降域で深い海だったところが隆起に転じてしまうような変化が訪れた。隆起や沈降は南北方向に帯状に延びた地域として発生した。こうした隆起域が沈降域へ逆転する現象は、インバージョンテクトニクスと呼ばれているもので、津軽平野のような広く平坦な地面と、その平野を取り巻く丘陵や山地のような対立した地形の形成は、この時期に始まった。このような南北方向に延びた地形的な凹凸を生み出したインバージョンテクトニクスは、日本列島が東と西から圧縮された結果引き起こされたと考えられている。
 鮮新世以降、隆起の続いた地塊は、現在我々の目にする丘陵や山地となり、沈降が続いて周囲より低くなった所は、河川により運搬された土砂に埋め立てられて平野や山間盆地となったと考えられている。このような隆起する地塊と沈降する地塊の境界が断層であり、圧縮により絞りだされるように隆起したために、断層は逆断層の傾向を示している。
 脊梁(せきりょう)山脈の西に沿った一群の山間盆地や、日本海側にみられる平野はこのようにしてできた。盆地と平野を隔てる丘陵のような隆起部分は衝上(しょうじょう)断層による運動が続いた結果できたのであり、丘陵のふもとには厚い扇状地堆積物を伴うことが多い。