弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編1(自然・原始)

新編弘前市史 通史編1(自然・原始)

第1章 津軽の自然

第四節 平野の地下地質

一 平野の地下地質の評価法

 丘陵や山地を構成する地質は、河床や崖に露出する地層から得られる岩相や地質構造、また地形から読みとれるリニアメント(線構造)などから詳細に把握できる。これに対し、私たちの多くが生活する平野を構成する地質は、露頭として地表で確認できるものは表層部を構成する最も新しい時代に堆積した堆積物に限られる。また、地形から読みとれる情報は、段丘・扇状地・河道・自然堤防および後背湿地等の第四紀更新世から完新世に形成された起伏の特徴と、関連する一般的な・砂・粘土などの岩相および構造であり、すべて表層部の地質情報である。
 したがって、平野を構成する地質を把握する手法には、①丘陵や山地に分布する地層の走向・傾斜等の地質構造から平野下の地質推定する方法、②ボーリング資料から直接検討する方法、③重力探査・物理探査・電気探査等の各種探査により推定する方法、④これら①~③から総合的に検討する方法などがある。
 弘前市の位置する津軽平野南部の地下地質を総合的に把握する本格的な試みは、岩井(一九七九・一九八〇)や酒井(一九八一)の温泉開発資料に基づく研究が最初である。その後、温泉開発が進展し、多くの地下地質に関連した資料が蓄積されるとともに、水資源開発を目的とした事業に関連して資料が増加している。
このような背景を受けて、本節では、従来の資料に、その後に行われた温泉および水源開発ボーリングから得られた最新の資料を加えて考察した。特に、帯水層の区分や物性等の水文地質的要素および水質・泉質に着目して、平野下の目にみえない部分を構成する地質の区分・地質構造の検討を行うことにした。
 津軽平野の地下地質を構成する地質系統の岩相層序については、五万分の一地質図幅「黒石地域の地質」(村岡・長谷、一九九〇)および「青森県の地質」(北村ほか、一九七二)を基とし、市史編さんにかかわる野外調査の結果得られた資料を考慮して作成した(表7)。また、津軽平野周辺の丘陵や山地に分布する地質の層序区分と対比については、図34を参考とした。

表7 津軽平野南部の地質構成
※地質年代は村岡・長谷(1990)による


図34 津軽平野東南部及びその周辺地質図。20万分の1「八甲田広域地質図」に基づいて編集した。

 平野の地下地質や地質構造を推定・検討するにあたっての鍵となる用語は、水文地質学・水質・ヘキサダイヤグラムである。以下に、これらの用語を解説しながら津軽平野を構成する地質について考察を進める。