弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編1(自然・原始)

新編弘前市史 通史編1(自然・原始)

第1章 津軽の自然

第三節 津軽平野南部の地形発達

二 弘前市街地の地形

図27は、弘前市街地および岩木川以北の水系と流路距離一キロメートル未満の小河川を省略した等高線を表している。

図27 弘前市街地および岩木川以北の水系と等高線図

 おもな河川として、白神山地を源とする岩木川と大鰐山塊を源とする平川があげられる。市街地を流れる小河川として、大和沢(おおわさわ)川、腰巻川土淵川寺沢川などがあり、いずれも北東方に流路をとり平川へと注いでいる。弘前市街地岩木川平川間に展開する扇状地上に位置し、岩木川以北にあっては岩木川流域および丘陵周縁に沿って集落が点在している。
 市街地の位置する扇状地大和沢川流域の一野渡(いちのわたり)付近をほぼ扇頂部とする、幅五~六キロメートルの弧状の分布を示し、標高三五~一三〇メートルである。全体として段丘化した開析扇状地であり、北方に大きく傾斜している。北側を流れる岩木川は、悪戸(あくど)から弘前公園付近にかけて開析扇状地の北縁を大きく湾曲する形で浸食し、比高一五~三〇メートルもある急崖で谷底平野に位置する城西地区と接している。東側を流れる平川流域では岩木川との合流点にかけて自然堤防が発達し、その背後には標高三五メートル以下の低平な後背湿地あるいは扇状地性の低湿地として分布している。
 開析扇状地内を流れる大和沢川、支流の腰巻川流域では等高線の配置がなめらかで、山地から供給された大量の砂堆積によって扇状地面とほぼ連続した緩斜面となっている。土淵川および寺沢川流域では等高線が上流側へ大きく入り組んだ深い谷地形をなしていて、特に土淵川流域の城南からヶ丘付近にかけては一五~三〇メートルもある急崖が認められる。各河川とも谷底平野は、上流部に灌漑(かんがい)用の溜め池をもち、水田として利用されている。
 一方、岩木川以北では岩木火山に源を発する後長根川、大蜂(だいばち)川、前萢(まえやち)川、大石川などが流れている。これらの河川は岩木山東方の黄金山高長根山高地山などからなる丘陵を開析し、ほぼ東流して岩木川に注いでいる。岩木川以北では、丘陵の前縁に標高一五~四〇メートルの火砕流台地が展開していて、平野側に向かって緩く傾斜している(写真37)。この台地は鼻和および富栄付近で標高四〇メートル、独狐および高杉付近で約三〇メートル、そして北方の小友付近で一五メートルであって、南側ほど高く北に向かって緩く高度を下げている。また、岩木川後長根川間の幅約二キロメートルは等高線の間隔が粗く凹凸があり、おもに岩木川の氾濫による自然堤防と後背湿地が展開していると判断される。なお、火砕流台地とは比高三~四メートルの急崖が存在する。

写真37 大蜂川流域の水田面より一段高い火砕流台地(りんご園)が舌状に張り出している。(前坂より西方を望む)

 図28には弘前市街地から岩木川流域にかけての地形分類を示した。周辺地域の露頭観察および地形判読、そして市内一五三地点六五〇本余のボーリング資料の解析を行ない、特に火砕流堆積物との関連で地形分類を行なった。ところで、二〇万分の一表層地質図および地形分類図「青森県」によると、この地域を開析扇状地として取り扱ってはいるが、詳細な分類は行っていない。筆者はこの地域を開析扇状地と下流側の氾濫原とに大別し、その構成層から判断して、上位から桔梗野面松原面原ヶ平面城東面(高杉面)・広野面境関面湯口面清野袋面駒越面城西面の一〇面に細分した。なお、図29は墓地公園-境関間、図30は大開-清野袋間、そして図31は富栄-土手町間の地質断面を示した。各地質断面ともボーリング地点の高度およびボーリング深度は資料に基づいて示したが、各ボーリング地点間の距離は任意の間隔で示している。

図28 弘前市街地から岩木川流域にかけての地形分類


図29 墓地公園-境関間の地質断面図


図30 大開-清野袋間の地質断面図


図31 富栄-土手町間の地質断面図