弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍

通史編1(自然・原始)

新編弘前市史 通史編1(自然・原始)

第1章 津軽の自然

第三節 津軽平野南部の地形発達

一 平野南縁の地形

標高二〇~二五メートルで、丘陵側では約五五メートルにも及ぶ。面の傾斜は下流側で一〇〇〇分の二~三、平川の支流六羽川流域および引座川流域では一〇〇〇分の四~五と緩くきわめて平坦な面であるが、丘陵に近い黒石市浅瀬石付近では一〇〇〇分の一〇とやや傾斜面となっている。図21に示したが、浅瀬石川流域から南側の尾上町の舌状台地にかけてと、平川流域から東側の六羽川にかけて分布する常盤面は、扇状地性の低湿地として発達したものと思われる。一方、引座川流域に分布する常盤面平賀面を浸食する浅い谷状凹地であって、凹地を埋積する泥炭層ないし有機質シルト層により平坦な面として形成されたと考えられる。いずれも水田として利用されている。なお、浪岡町における常盤面を構成する古懸浮石流凝灰岩直上の泥炭層からは約五〇〇〇年の年代測定値が得られていることから(山口、二〇〇〇a)、これらの埋積物は約六〇〇〇年前の縄文海進にともなう堆積物と思われる。
 ボーリング資料によると、引座川近くの平賀町消防署21(四一メートル)では、最上部に厚さ約九メートルの砂と有機質シルトの互層(N値九未満)があり、基底が砂礫層となっている。砂礫層の下位には二枚の火砕流起源の軽石質粗砂層があって、中部にある腐植質シルト層(厚さ約一・七メートル、N値八~一三)と砂礫層で二分される。シルト層上位の軽石質粗砂層(厚さ五・五メートル)は古懸浮石流凝灰岩に対比され、亜角~円の安山岩の異質を含む、淘汰不良の砂層(N値二九~四四)である。基底部には腐食した埋もれ木が認められ、火砕流によって埋没したと思われる。下位層は一〇メートルの厚さで、安山岩の岩片を含む固結した(N値五〇以上)砂質凝灰岩で、駒木浮石流凝灰岩と考えられる。六羽川近くの平賀町立西中学校⑲(三五メートル)でも消防署21地点と同様の堆積を示している。最上部には厚さ二~三メートルの、軟弱な(N値二~四)灰褐色の砂質粘土~有機質粘土(一部細砂との互層)が堆積し、下位には古懸浮石流凝灰岩に相当する軽石質粗砂層が認められる。
 一方、田舎館村境森(二三メートル)・常盤村若松(二二メートル)・同村立明徳中学校⑧(二一メートル)などでは、古懸浮石流堆積物に相当する軽石質砂層が一〇メートル以上の厚さで堆積している。砂層中には軽石層泥炭層および有機質粘土が薄く堆積していることから、再堆積物としての特徴をもつ。軽石質砂層の下位には厚さ八メートル以上の砂礫層(N値二九~五〇以上)が堆積し、上部には有機質粘土(厚さ二~三メートル)、下部には青灰色砂質シルト~粘土質シルト(厚さ四メートル以上)が薄く堆積している。なお、地表下五~六メートルまでは、暗灰色の砂質シルトと細砂の互層(N値三~七)が認められ、局部的に泥炭層、軽石粒および粗砂層が認められる。